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「っは、ケツいてぇ・・・・」



ジリジリと響く熱に顔を顰めながら、困惑した表情の不知火の瞳を見つめた。

不知火は切なげに眉を寄せて、鋭い瞳からは今にも涙がこぼれ落ちそうになっている。



「ふはっ、泣きそーじゃん・・」
「だっ、て・・・っ!」



スルリと頬を撫でれば、不知火はポロポロと涙をこぼし初めてしまった。

・・・学園の奴らには想像もつかねぇだろうな、今の状況。



明日にはまた学園一の不良だか何だかで恐れられる不知火の姿を想像して、俺は喉の奥でくつりと笑った。


「情けねぇな・・・、今まで存在さえも知らなかった平凡に泣かされるのってどんな気分?」
「・・・っん、」
「あー、不知火マゾだもんな。やっぱ嬉しい?」
「ぁ、・・・っ」



不知火の頬を伝う涙を舌で舐め取りながらそう言うと、そのたびに不知火はうっすらと開いた唇から切なげに声を漏らした。

やっぱマゾだ。






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