短編集 | ナノ





――胸が痛んだ、と同時に俺はどうしてもっと気を使わなかったんだろうと今目の前で起こっている出来事に対して自分に深い憤りを感じた。

「なが、みるな…ぅあ、」

まさか、高峰がレイプされるなんて。

どうして俺は考えなかったんだろう。高峰が荒れた生徒たちのストレスを発散するための掃き溜めになることを。
いや、考えた。もし高峰が暴行事件に巻き込まれたら、暴行の的にされたら…と。だが元とは言え高峰はこの学園の会長だった人間だ。あいつを慕う人間はこの学園にごまんといた。この学園の全校生徒のほとんどが高峰を憧れ、尊敬していたと言っても過言ではなかった。だから己が一度憧れた人間に対してそんなことできるわけがないと思った。
そしてあいつが会長を辞めて生徒会が、学園自体が機能せず苦労した生徒たちは高峰という存在の大切さと副会長たちの過ちに気づくと。

―――そう信じた俺が馬鹿だったと言うのか。

その問いに嘲笑っているかのように俺の目の前の光景はその答えを語っていた。

あんまりじゃないか。なぜ誰も気づかない。高峰は俺達生徒のためにあんなに頑張ってくれていたというのに。俺達は高峰に礼を言うどころかこんな戒めを…!!

「…ッお前ら…、何をしているんだ…ッ」

ほとんど意識が定かではない高峰は体を組み敷かれて本来は排泄するためのそこに男の猛ったペニスを捻じ込まれており、切れたそこは真っ赤な滴が零れ太ももを伝う。

「ああ、委員長、あんたも混ざる?」

へらへらとそんなことを笑って言いのけるこの男。

「お前…!こいつの親衛隊の隊長だろう!」

「やだなー元ですよ。も、と」

周りにいる逞しい体をした生徒、小柄な生徒…ここにいる人数だけで1クラスは作れそうだ。それほどの大人数で高峰を…!

「元でも…一度は自分が尊敬した相手じゃないのか?!なぜそんな相手にこんな真似ができるんだ!」

「委員長、勘違いしないで。俺ら一度も会長のこと尊敬したことなんてないよ。確かに純粋に会長のことを思ってる子はいくらかいたみたいだけど。少なくともここにいる全員は会長がリコールされる前から会長を抱きたい、会長に抱かれたいとずっと思ってた奴らばっかだ。――こんなオイシイ機会、そんな俺達が黙って見過ごしておくとでも思ったの?」


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