短編集 | ナノ





「お、おま…!」

はっきり言えよって思ったけどこうまっすぐ言われるとかかなり精神的にくる。不細工ってことぐらい俺だってわかってんだよ。
イケメンには俺みたいな不細工の気持ち、一生わからねーよ。つかわかってほしくない。

「前沢はさ、不細工なんだから誰にも相手されないの」

…それを言われると、ツライ。みんなに嫌われてるのも見た目が原因なのに、なんで後藤はこんな…まさか、いじめが始まったりするのかな。人気者の後藤が俺の悪口を言ってしまえば後藤が大好きなみんなは俺のこといじめるに決まってる。そうなれば数少ない俺の友人も俺から離れていくだろう。他にもひどいことされるのかな、殴られたり、物無くなったり、お金まで取られたらどうしよう、相談できる先生なんかいないのに。

俺が何してこんな風に後藤にいじめられなくちゃいけないんだよ。顔が気持ち悪いから?そんなのわざとじゃねーもん…


「泣くなよ。不細工が余計不細工になる」

「うぅ…泣いてねーし…」

目頭がすげぇ熱い…


「前沢は不細工だから誰も前沢に近づかないけど俺はそばにいてあげるよ」


…は?

「…ごと、気、確かなの?」

「失礼だなぁ。優しい俺が前沢みたいな不細工のそばにいるんだよ?ありがたく思いなよ」

そんなんむしろいらないし…

「お前、俺のこと嫌いなくせに」

「はぁ?」

「イケメンはイケメンでみんなの人気者でいろよ。お前なんか俺と一緒にいられたら俺もっとみんなに嫌われるしお前にもいいことねぇし…そーゆうこと冗談でも俺が惨めになるから言わないでほしい」



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