天邪鬼の猫。 | ナノ






「じゃあ俺もう生徒会室帰るよ。やらなきゃいけない仕事まだ残ってるし」

「…そうか。頑張れよ」

「完成した書類はまた風紀に持ってくるから」

「ああ」


朝陽と他愛もない会話をして和んだ俺は風紀室を出て生徒会室に向かう。時間は日も落ちて茜色の空が少し夜に染まる頃。もうちょっとゆっくりしたかったなあ…なんて思いながら一つ欠伸。最近寝不足だなー。仕事に集中し過ぎていつの間にか夜の3時ぐらい普通に回っちゃってたり涼ちゃん特製コーヒーをたくさん飲んじゃうんだよね。カフェイン摂りすぎて寝れない。夏休みのうちにちゃんといつもの生活リズム取り戻しとかないと学校始まったら俺確実しぬ。

風紀室を出て10分くらいたった頃、やっと俺は生徒会室に到着。見慣れた絢爛豪華な扉を開いて執務室に向かう。
各役員の机の上に溜まった書類を見て俺はげんなり。夏休みなのになんで溜まるかな。学園祭の書類だけで書類の山は2つぐらい建てられそうなのに。それに加えて凛くんに関わる暴行・強姦事件の処理の書類。これ風紀に提出するやつなんだけど提出するくらいならはじめっから風紀がやってくんないかな。他にもたくさんあるよ。これ以上言ったら俺のやる気が削がれる。てかもう半分削がれた。


「はぁー…」

お菓子箱から棒付きのあめちゃんイチゴ味を取り出して包装紙を取ってゴミ箱に捨ててから舐める。ん、甘い。

執務室と言えば、1時間ぐらい前の篠との事を思い出す。
なんで篠はいきなりキスなんかしてきたんだろ。俺にとっちゃ嬉しいんだけどね、乱暴じゃなかったし…。うわ、何考えてんだ俺。

ガシガシと乱暴に今考えてたことを掻き消すように片手で頭をかく。髪の毛ボサボサになるけど今は気にしない。

ふつう好きでもない人にキスする?…篠はするか。食堂で凛くんにしてたしね。あ、でもはじめて見た瞬間、篠が凛くんに一目惚れしたのかも。


「…篠ってホント…意味分かんねー…」


考えることをやめようとしても、どうしても心にすっきりしないモヤモヤが残る。



- 85 -
[ prev  *  next ]
栞を挟む

小説topに戻る
Mainに戻る


人気急上昇中のBL小説
BL小説 BLove
- ナノ -