天邪鬼の猫。 | ナノ
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俺ってば今、ちょー悪役だよね。よくある昼ドラで主人公とヒロインの恋路を邪魔する魔女みたいな役。篠と凛くんの恋路を邪魔する俺。
どーせ邪魔者なら邪魔者らしく、とことん邪魔してやろう。俺の欲の為に。篠にはもうどこにも行って欲しくない。
それがたとえ一瞬だけだったとしても、俺の傍に居て欲しい。
「…――会計」
俺のことをかいちょーが呼ぶ。俯いていた顔を上げてかいちょーに目をやると、真っ直ぐなあの黒い瞳で俺を見つめていた。
「…、なーにぃー…?」
かいちょーは俺と喋ることに抵抗はないのかな。役職名で呼ばれたことに少し寂しさを覚えるがかいちょーから話しかけてくれること自体今の俺には一生にあるかないかのキセキに等しいから文句は言わないで置くけど。
少なからずかいちょーは俺のことを嫌ってる筈なのに。かいちょーは嫌いな人には絶対に口を利かないことを俺は知ってるから少し浮かれてしまう。それと同時にかいちょーにこれから何を言われるのか不安になった。
「…今まで生徒会の仕事はお前がやってたのか」
うん、って答えればいい話なんだけど…。俺、勝手にみんなの仕事やってたわけだし何かミスでもあればそれは全部かいちょーの責任になるわけ。まさか、かいちょーに何勝手なことしてくれてんだ、って俺のことボコるつもりだったりして。どうしよう、答えたくないんだけど。
「…あ、の…」
「聞き方を間違えた。他の役員や俺の仕事まで手をつけたのか」
ほら、この聞き方は絶対ボコるつもりだよ。どうしよ、答えたくないんだけど!俺は嘘になるけどフルフルと首を横に振った。
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