天邪鬼の猫。 | ナノ
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「見て分かれ」
と言われて気づく。かいちょーの手には書類の山。かいちょーの机に書類がなかった理由が頷ける。
仕事してくれたんだ、とちょっと嬉しく思えた。いや、役員なんだから仕事するのは当たり前なんだけど。でもここ最近はずっと俺1人で大量の書類を捌いてたわけだから他の役員が仕事してくれると俺自身少しではあるけど仕事量も減って楽になれるし、嬉しいんだよね。
何より、かいちょーが俺と言葉を交わしてくれるのが嬉しい。ちょー嬉しい。
どうやらまだ俺は嫌われてないらしい。かいちょー、嫌いな人とは言葉を交わそうとしないし。
俺もつくづくバカだよな、って最近よく思う。
強姦されたり、殴られたり、たくさんそんなことされたけどそれでもやっぱりかいちょーが好きだ。今改めて思った。
かいちょーはふくかいちょーと双子の机から幾つか書類を取ると自分の席に座る。
かいちょー、まさか仕事すんの?生徒会室で?自分の部屋とかじゃないの?俺いるのに、かいちょーは平気なのかな。
俺はそんな疑問を抱きながら休憩終了。いつのまにか頭痛とかも治まってまた書類に集中する。
そー言えば。何時間かぐらい前に凛くん、かいちょーのこと探してたよな。俺はやっぱり集中できずにくるくるとシャーペンを回す。
凛くんがかいちょーのこと探してた、って言ったらかいちょーは凛くんのとこに行くのかな。
行って欲しく…ないなあ…
俺の近くにいて欲しい。会話なんかなくてもいいから。此処にいるだけでいいから。
「…っ、」
俺は口を閉ざした。
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