天邪鬼の猫。 | ナノ




「よろしく」


桜が満開のこの時期、高校1年の俺はあと数日で2年に進級。それとともに生徒会会計補佐から卒業し俺は生徒会会計になる。

そんな俺の名前は佐倉涼。
見た目金髪、ピアスチャラチャラの笑顔が素敵なチャラ男に分類される男。
喧嘩は決して強くないのでそこらへん不良なんかと間違えないように。

美形に分類される俺はこの容姿のおかげで抱きたいランキング8位、抱かれたいランキングで5位にランクインした。
だけど生徒会役員になれるのは4位まで。総合7位の俺は人手不足、ということで会計補佐を任された。

俺の通うこの学園は俗に言われる「王道学園」で山の中にどーんと構える金持ちの男子校。
その名を鳳凰学園。他の学校から言わせりゃ金を使いすぎのただのホモ校。小等部から高等部までエスカレーター式の全寮制、当然のようにここの生徒たちのほとんどは同性愛を疑問に思わず、それどころか俺みたいな女の子が好きな男より同じ男が好きな男が多いのだ。


そして俺は今、来年度―つってもあと数日だけど―の生徒会の顔合わせと企画打ち合わせの為に生徒会室へ向かっていまーす。
なんでも中等部から上がってくる奴等の為に歓迎式を行うからだそうだ。まだ進級もしていないのに忙しい。


「しつれーしまーす」


生徒会室の豪華な扉を開くと他の役員は既に揃っていた。
俺様っぽいイケメンに、美人なイケメンに、可愛い同じ顔したチワワが2匹。

「全員揃いましたね。では自己紹介をしましょうか」

美人さんがそう言う。俺は近くの空いてるソファにぼふんっと腰かけた。

「私は水名瀬澪、役職は副会長です。よろしくお願いしますね」

美人さんはミルクティー色の髪を揺らし緑の瞳を細めて笑う。見た目外人さんっぽいんだけど、ぺこりと丁寧に会釈する仕草はまさに大和撫子。ちょー美人だ。


「僕の名前は柳瀬雄真だよ」
「僕の名前は柳瀬奏真だよ」
「僕ら2人は書記でーす」
「よろしくねー」

同じ顔で同じ茶色の髪と瞳。声がほんの少し違うくらい。身長も一緒くらいじゃん。鏡みてぇだなー。
名前なんて言われてもそんだけそっくりさんじゃ間違えちゃうかも、俺。


「…西園寺篠、生徒会長だ。この俺に迷惑の掛かるような行動は慎め」

わー俺様だぁ。シビれるぅ。

なぁーんて、うそうそ。冗談。かいちょーの髪は真っ赤でかなり不良っぽくて怖い。ちょー眼つき悪ぃし。でもよく見ると顔は整っててかなりのイケメンだ。さすが抱かれたいランキング1位に選ばれただけはあるなと思った。


「俺の名前は佐倉涼でーす。会計だよん、よろしくねぇ」

優しく微笑むふくかいちょーに、仲がいい双子、ちょっと怖いけどかっこいいかいちょー、それと俺。このメンバーが、これから1年共に生徒会やっていく仲間になるんだ。



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