天邪鬼の猫。 | ナノ






カタカタとキーボードを打つ音が生徒会室内に響いて外からは蝉の鳴き声が聞こえる。クーラーが効いてるおかげでそんなに暑くはない。なのに何故か頭が痛い。眩暈も治まる気配がなくてフラフラする。…うげ、また打ち間違いしちゃった。これで4度目だ。


「うぅー…熱中症かなぁ…」


部屋の中は冷房が効いてるから汗なんて出る筈ないのにうなじを伝う汗がじめっとしてて気持ち悪い。うえ、胸焼けもしてきた。

キーボードの無機質な音が止まる。俺は机から立ち上がってベストを脱ぎぷちぷちとワイシャツのボタンを3コぐらい外した。それからキッチンへ涼ちゃん特製コーヒーを淹れに行く。今日は暑いから砂糖をいつもの倍入れて氷もオマケで数個入れる。涼ちゃん特製コーヒー夏バージョンのかんせーい。それを持ってまた自分の机に戻ってパソコンと向き合った。できれば向き合いたくないんだけどぉ。


「しんどいよぉー…」


駄目だ、一気にやる気を失くしちゃった。俺は机に突っ伏してそう項垂れる。


「おーい!篠ー!!!」


俺1人だけだった生徒会室に人がやってきた。机に突っ伏した状態のまま首だけをその声のする方へ傾けるとその大声の主と目が合う。


「はやま…りん…、」


本来なら一般生徒は立ち入り禁止の筈なのに。…てんにゅーせいだ。てんにゅーせいもとい葉山凛はズカズカと俺に近づいてきた。


「涼っ!お前何してんだよ!!?サボりか!?」


俺の横で仁王立ちしてそう叫ぶ。いちいち大声なんか出さないで欲しい。頭に響く。てゆーかこの状況をどう見たらサボりに見えるんだよ。パソコンだって起動させてあるし何枚か手をつけた書類だってある。見ればサボりじゃないなんてすぐに分かるじゃん。なんかむかつくんだけど。


「サボってないよー…ちょっと休憩してただけだよう」

「具合悪そうだぞ!?大丈夫か!!?」


心配してくれるなら早く生徒会室から立ち去ってくだサイ。



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