天邪鬼の猫。 | ナノ
6
「おら、さっさと行くぞ」
「だって篠っ!涼、俺が好き嫌いを直してやる!って言ってんのに食べないんだぜ!?サイテーだよなっ!!」
やっぱ慣れないなあ。てんにゅーせいとかいちょーが一緒に居るところを見るのは。この状況、隣に朝陽がいなかったら俺また泣いてたかも。もうどうでもいいからどっか行って欲しい。気抜いたら俺泣いちゃう。
「凛に近づくんじゃねェよ」
俺から近づいたワケじゃないもん。俺はかいちょーと目を合わせることができないままそう俯き呟いた。食堂内が煩いから俺の声は掻き消されたけど。俺は苦し紛れに残り僅かだったいちごミルクを飲み干した。
「…涼、お前はこれでも生徒会を壊すなと言うのか」
「朝陽…」
かいちょー達が生徒会専用スペースに上がってから沈黙が流れたまま、暫くしてから朝陽がそう口を開いた。
「朝陽も知ってるでしょお。俺、まだかいちょーの誤解解けてないんだよ…」
そんな風に言っときながらなんだけど俺、誤解解けないと思うんだよね。てゆーかむしろ解く気がないっつーか…。
頑張って、意味あんのかなあ。俺。
誤解を解いたたとしても、篠はまた俺を愛してくれるわけでもないし、ふくかいちょーや双子の2人とも仲良くなれるわけでもない。
「…頑張る意味なんかないじゃん…っ」
なんとか、涙は堪えた。
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