天邪鬼の猫。 | ナノ






「…涼が、悲しむだけじゃないか」

「みんなねぇ…すっごくプライド高いんだよ。リコールなんかされたらこれからの学校生活、かいちょー達は肩身が狭くなるじゃん?」

「―だから、お前の気持ちはどうなるんだッ」


朝陽が声を荒げるトコなんか初めて見た。ばん、と机を思いっきり手の平で押し付けるように叩いて立ち上がる。これちょっとレアじゃない?…うん。ふざけてる場合じゃないかあ。


「俺の気持ちは、生徒会のリコールとはまた別の話だよう」

「どこが別の話なんだ!お前は西園寺に――!!」


「あー!!涼がいる!!おーい!涼!一緒に飯食おうぜ!!」


あのいつも冷静沈着な風紀委員長様が怒鳴っている、と恐る恐る注目していた他の生徒達がある人物のとーじょーによって更に俺らに注目。

てんにゅーせいだ。
あ、朝陽ちょー嫌な顔してる。朝陽の後ろになんか黒いオーラでてんの。わっかりやすいなあ。朝陽は。


「おいっ!無視すんなよ!!」


そういう俺も実はちょー嫌な顔してたり。うん、自覚済みぃ。
…うげ、しかも副会長と双子書記いるし。かいちょーがいないだけマシだと思う。っつーかこっちに寄んないで生徒会スペースなりなんなりどっか行っちゃえばいいのに。本当タイミング悪いよね。てんにゅーせいって。てんにゅーせいが近づいてくるとふくかいちょーとか双子書記がすごい睨んで来るんだよ。もー怖いったらないわ。


「…君もご飯食べに来たのお?」

「ああっ、みんなで食べに来たんだ!!ってそれより!君なんて呼び方すんなよっ!!俺と涼の仲だろ!!」


いやいや、俺とてんにゅーせいの仲ってどんな仲?親しい仲じゃないのは確定だね。うん。


「会計の晩ご飯って」
「それだけなのー?」

「ふぇ?」


突然、双子書記が俺にそう話しかけた。ちょー吃驚なんですけど。いっつも馬鹿にされるか睨まれるかだけだったから。


「それだけ…?って、コレ?」

俺はいちごミルクを指差す。双子は同時に首を縦に振る。うお、さすが双子と言うべきか。


「うん、こんだけ」

「だから涼はそんなに細いんだなっ!!もっと肉を食え!!」


わお、命令形。いや、食べれないことはないけどね?今は食欲がないんだよ。てんにゅーせいは俺と朝陽の席に座ってやたらと肉料理を注文した。そして一言。「これ全部食べないと帰さない!」。もうむしろてんにゅーせいの行き過ぎた自己中に尊敬しちゃう。
…ちょ、朝陽、自分の存在消してないで俺を助けてよ!



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