天邪鬼の猫。 | ナノ




リコール


篠に無理やりにあんなことされたとか体が痛いだとか落ち込んでても時間の無駄だから俺は涼ちゃん特製コーヒーを片手に渋々ペンを握った。イン俺の部屋。

まあ書類の量も少なかったし空が真っ暗になる頃には書類は全部片付いた。ついでに今日の涼ちゃん特製コーヒー消費量は3杯だ。また今日も寝れないかも。

そんなことを考えながら書類を持って生徒会室に向かう。生徒会室に置いとけば森ちゃんとか朝陽が勝手に取っていくだろうし。
いやーでも寝てマシになったとは言え頭痛と眩暈まだちょっとするなあ。それに腰も痛いし。最近はやりのインフルエンザとか?俺は至って健康…なはず。

数分歩いて生徒会室の前に辿り付く。中からはあのてんにゅーせいのでかい声は聞こえないし大丈夫だろうとドアノブに手をかけようとした瞬間、扉は勝手にガチャリと音を立てて中から朝陽が出てきた。


「涼」

「朝陽、生徒会室によーじ?」


書類なら今完成したトコだからコレ持って行って。と付け足して朝陽に書類の束を渡す。そのときに一瞬ふわ、と爽やかな石鹸の匂いが俺の鼻をくすぐった。俺は朝陽の首元に鼻を近づけてくんくん、と匂う。首元って体の中で一番匂いの強いトコなんだよ。朝陽の首元、ちょーいい匂い。


「いい匂いだねぇ、朝陽」


あ、驚かせたかな。眼鏡の奥の漆黒の瞳がゆらゆらと揺れる。 
でもホントに久しぶりの朝陽だ。最近忙しくて会えなかったからなあ。


「お前は天然だから余計にタチが悪いよ」


いつもはキリッと締まった顔が崩れて笑顔になる。と同時に頭をガシガシと撫でられた。この感覚も久しぶりですごい心地いい。
言葉の意味は理解できなかったけど久しぶりの朝陽で涼ちゃん大満足。


「書類を受け取りに来たのもあるがあの馬鹿に会う為に生徒会室へ来たんだ。涼、知らないか?」

「馬鹿って?」

「西園寺の奴だよ」


うげ。今日の昼のことを思い出す。あ、なんか腰も痛くなってきた。うー、思い出したくないよう。
てゆーか朝陽がかいちょーに会う、なんて珍しいね。仕事関係かな?でもソレなら朝陽は俺に言うだろーし。


「居場所は知らないけど、伝言なら…」


メールでやれば顔をあわせずに済むからソレぐらいなら俺にもできるよ。とまでは言わない。朝陽なら俺に言いたいこと分かってくれてると思うし。


「…涼、俺は近々西園寺たちをリコールしようと思う」


………え?朝陽今なんて?リコール?リコールってあの風紀だけが使える生徒会を罷免させることができるヤツ?
ってことはかいちょーもふくかいちょーもあの双子書記も、俺だって生徒会じゃなくなっちゃうワケ?冗談だろ。



- 62 -
[ ×  *  next ]
栞を挟む

小説topに戻る
Mainに戻る


人気急上昇中のBL小説
BL小説 BLove
- ナノ -