天邪鬼の猫。 | ナノ






目を覚ませば外は夕日に燃えていた。俺は体を起こして立ち上がりとりあえずキッチンへ行く。ちょー喉渇いた。冷蔵庫を開くと何もない。あ、賞味期限切れの牛乳みっけ。

少し腰を屈めたとき、すごい痛みが全身を襲う。ズキズキ、って骨が軋む感じ。


「っ!」


後処理ちゃんとやってなかったから臀部の痛みがハンパない。あー…俺疲れすぎて風呂入らずに寝たからなあ。おかげで頭痛と眩暈は治ったよ。ついでに制服はちょーグシャグシャ。
とりあえず俺はシャワー浴びよう、と洗面台で服を脱ぐ。その最中ふと鏡に映る自分の姿が目に映った。



「きすまーく…?」

左胸の近くに紅い点が一つ。こんなの篠がつける筈ない…。でも篠がつけなかったとしたら他に誰がつけたんだろう。…いやいや、でも篠がキスマーク、俺につける?ありえないありえない。

俺は不審に思いつつも紅くなった部分を指先でなぞる。篠が本当につけたなら、そんな淡い期待を抱きながら。




*


シャワーを浴び臀部の痛みもまあまあ引いて俺は机に向かい生徒会室まで取りに行ってた書類に手をつける。
歓迎式も終わって次はテストがある。あー…そー言えば俺テスト勉強してないや。最近勉強どころじゃないしなあ。6月中旬にはテストがあって下旬には…。


「学園祭だ…」


各クラスで出し物だして売上率を競って1位のクラスには毎年クラス全員に豪華賞品が送られるアレだ。
去年も同じ行事やったけど学園祭のときの忙しさは歓迎式の比じゃない。各クラスの出し物調整、備品の用意や仕入れ、各委員への役割分担、その他諸々全部生徒会がやる。
先代の生徒会メンバー全員で授業免除しても人手が足りなかった。それぐらい忙しいんだ。


「あー…もー涼ちゃんちょーユウウツだよう…」


歓迎式の倍以上の仕事を俺1人で片づけるって…考えるだけで頭が痛い。俺は机に突っ伏した。



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