天邪鬼の猫。 | ナノ






「くそっ…!!…おい、こうしよう」


リーダー格の男が他の2人に耳打ちする。話し終えたのか3人はにや、と怪しく笑って俺に近づいてきた。


「どーせ処罰されんならお前もヤッてやるよ…」

「俺、会計さんのこと抱いてみたかったんだよなー!」

「可愛い顔してるしあんたならいけるわ」


ちょ、ちょっと待って。うん、なんだこの展開は。俺、殴られんの?やだ、痛いのちょーやだ。


「そんなことしてどーなるか分かってるう?君ら退学処分じゃ済まないよ。今なら見逃してあげるから早くここから…っ!?」


突然後ろから羽交い絞めされる。3人以外にも人がいたんだ…。あまりに強い力で動けない。


「ひ、あ…っ」

そして羽交い絞めにされたまま後ろの奴に首筋を舐められ変な声が出てしまう。殴られるどころじゃない、このままじゃ強姦される。せめて襲われていた生徒だけでも逃がさないと。上手くこの子が逃げれば俺もきっと助かるし。

痛いのはやだけど、こんな状況じゃ仕方ない。俺は真後ろにいるであろう生徒めがけて逆膝かっくんをかましてやる。俺の足裏がちょうど後ろの生徒の膝小僧にクリーンヒットしたから痛みはハンパないと思う。…地味だけどこれ結構痛いはず。

「いってぇ…っ」と苦しみ俺を捕らえる腕の力が緩んだ隙に腕の中から抜け出してさっきまで襲われててた生徒の側に駆け寄る。


「ね、君っ、大丈夫…っ―――」

「俺は大丈夫、助けてくれてありがとうな!!」


うげ、ちょ、助けるんじゃなかった、正直俺そう思うよ。今。


「涼っ、お前は大丈夫かっ!!?」


助けた相手が、まさかてんにゅーせいくんだとは。何のイヤガラセだよコレ。てか、まず気づこうよ、俺。襲われてんのてんにゅーせいって。そしたら助けなかったのに。…いや、ここは生徒会役員の立場があるから助けなきゃいけなかったけどね?でも、これはないわ。うん。ない。



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