天邪鬼の猫。 | ナノ




大事件


「いい隠れ場所はっけーん」


美術部の物置倉庫となってる今は使われていない美術室。完成していない絵とか、よくある真っ白な顔だけのリアルな首とかがたくさん置かれた教室。
他の教室と比べるとほんとに汚くて地味。ここの学園のお金持ち坊ちゃま達はまずこんな教室には立ち入らないだろーな、俺はガラリとドアをスライドさせて開く。

…ん?なんで鍵が閉まってないんだろう。
旧校舎だから?いや、そんなの関係ない。歓迎式だからかいちょー達が旧校舎の鍵開けといたのかな。…まーいっか。これ以上考えたら俺、知恵熱出ちゃいそう。それに鍵閉まってない方が俺には都合がいいし。


「―っろ!!――なせ!!」

「…ん?」


今、やたらでかい声が聞こえた。ちょっと聞き取れなかったけど。誰か人いんのかな。俺逃げなきゃ捕まっちゃう。美術室を後にしようとした時、今度ははっきりと声が聞こえた。


「はなせっ!!近寄るな!!」

「逃げるなよ、いい思いさせてやろーって言ってんのに」

「そーそー。それに生徒会の奴らに近づいたお前が悪いんだし」

「覚悟しろよ」


…これは物騒だ。まさかのリンチ?よーし、可愛い子猫ちゃんの為にヒーロー涼くんが助けてあげよう!

俺は声のする方向へ向かう。すると結構すぐに見つかって美術室の奥にある美術準備室の中に声の主たちはいた。明らかに小さい体の生徒の上を跨るようにして押さえつける体格のいい1人の男と両手首を頭の上で押さえるこれまた体格のいい男が1人。そしてその横にリーダー格と思われるいっちばーん体格のいい男が両手を組んで2人に指示をしていた。
襲われてる生徒はもう既にシャツが全開で泣いていた。遠くからだけど分かった。顔はあんまり見えないけど抵抗する声がすごい涙声だったから。


「ちょっとー、行事中のトラブルは厳重処罰だ、ってさっきの集会で忠告したばっかなんだけどぉ」

正確には双子書記が忠告してたんだけども。俺はいつもより声を低めにして美術準備室の入り口のドアにもたれかかって体格のいい3人に言う。すると3人はサァーっと顔を青褪めて俺を見た。


「なっ、会計…!!?」

「なんでここにっ!!?」

「おい…!これまずいって!!」


多分、彼らはさっきの集会に出てなかったんだろーな。鬼ごっこ開始して今1分経過。きっと他の生徒は今さっきスタートした頃だろーし。


「今から逃げようとしても無駄だよう、俺、君らの顔覚えたから。後日生徒会で処罰させてもらうからね」



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