天邪鬼の猫。 | ナノ




16


朝陽に告白されて数日。今、俺は講堂ホールの舞台上にいる。俺の横にはふくかいちょーと双子書記もいたり。かいちょーは演説台で高等部生徒に挨拶してる。

そう、今日は歓迎式当日なのだ。


「――新入生は高等部にそろそろ慣れてきた頃だろう、今日は先輩後輩の交流会、2回目の歓迎式を行う」


ちょ、すごい悲鳴やばいんですけど。あ、もちろん黄色い声の方の悲鳴ね。男なのにどこからそんな声出せるんだろ。ほんと。
実はあの生徒会室の1件以来俺は他の生徒会役員と一切の口を利いてない。隣からすごい威圧感感じる。ちょーやばいんだよね。俺。殺されちゃうのか、って思うぐらいすげー怖いよ。気まずすぎる。


「内容は鬼ごっこです。我等生徒会が逃げ、一般生徒の皆さんは逃げる生徒会を1時間以内に捕まえる鬼です。捕まえた人には本人が望む賞品を。もし全員捕まえることができたなら高等部全校生徒に食堂のご飯1ヶ月無料券を差し上げます。みなさん頑張ってくださいね」


演説台の横の待機席でふくかいちょーはマイクを手にして言う。講堂ホール内はまた黄色い声が木霊した。


「歓迎式中のトラブルは」
「厳重処罰なのでみんな注意してねー」


うお、黄色い悲鳴が野太い雄叫びに変わった。
これは親衛隊が行事中のゴタゴタに紛れて制裁をしないようかいちょーがあのてんにゅーせいを守るために作ったルール。
あとついでに強姦とか暴行事件とかもないように、って風紀の人たちは行事に参加せず全員見回りらしい。お疲れ様です。



「俺、走るのニガテだから優しくし、て、ね?」


とか特に俺は言うことがないからふざけて言ってみたりすると黄色い悲鳴と雄叫びが両方が上がる。涼ちゃんってばモテモテ?…じょーだんだよ。


「生徒会が逃げる範囲は高等部校舎から旧校舎全域。小等部と中等部は平日どおり授業を行っているので立ち入らないように」


ふくかいちょーがじゃあそろそろですね、と笛を鳴らす。それと同時にあらかじめ舞台にあったタイマーが動いた。


「これより歓迎式を始めます。生徒のみなさんは今から5分後に校舎のどこかにいる私たちを捕まえてください」


俺を含む生徒会は舞台から降り講堂ホールを出てそれぞれの逃げる場所へ走る。…ちょ、俺走りたくない。歩いていい?つか歩こー。


「んー…ここでいっかー」


始まって1分もしていないのに俺は既にバテ気味。講堂ホールのすぐ横にある旧校舎の中に入って1時間どっかの空き教室で時間を潰そう、そう考えた俺はあんま目立たなさそうな教室を探す。

旧校舎なのに扉とかに施された装飾がすごくまぶしい。目立たない教室なんかないんだけど。



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