天邪鬼の猫。 | ナノ




15


(side 朝陽)



涼の部屋のインターホンを鳴らすと少ししてから目と鼻を真っ赤にしていかにもさっきまで泣いてました、って顔をして涼はでてきた。
俺が眼鏡を外していた姿が珍しかったのか涼は目をぱちくりさせてた。


西園寺のせいで、お前は泣いてたんだな。
涼はそれでも無理して笑って平然を装う。…俺はお前の偽者の笑顔なんか、見たくないのに。

気がつけば俺はいつのまにか涼の頭を撫でていた。


「――前にも言ったが泣くぐらいならこの俺を頼れ。いつだって俺は応援していると言ったろう。お前の味方は此処にいるんだから」


俺の前では笑顔でも、泣き顔でも、なんでもいいから隠さないでいてくれないか。


「俺、誤解されても頑張るって言ったけどさー…全然、自信ないんだぁー…」


涼はぷっつりと我慢の糸が切れたように涙を流す。床にはぽた、と涙の雫が何滴も零れ落ちた。


「かいちょーと、てんにゅーせいが一緒にいるの、見たくない。お互い名前で呼び合ってるの、聞きたくない…っ…っ、…かいちょーの誤解解けるといいな…って、願っても、言葉に出来ない…、俺の言葉は、かいちょーには伝わらないんだ…っ」



涼が、大声をあげて泣く。バサバサと俺が渡した筈の書類は涼の腕の中から崩れ落ちた。
不謹慎だけど、俺は少し嬉しい気もする。涼が俺にこんな姿を見せてくれてる、心を開いてくれているんだ。



「――お前が頑張ってるのは俺にちゃんと伝わってるよ」


俺が一番知ってる。俺はお前をいつも見てるんだから全部分かるよ。



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