天邪鬼の猫。 | ナノ




14


(side 朝陽)




くそ、来るんじゃなかった。俺は踵を返し生徒会室を出ようとする。


「おいっ!お前誰だよっ!!?ここは生徒会じゃない奴は入っちゃダメなんだぞ!!」


生徒会ではない生徒の立ち入りが禁止ならお前もこの部屋には入ってはだめだろう、そう突っ込みたくなる衝動を抑えこめかみを押す。


「――西園寺、この有様はなんだ」

「あ?」

「何故一般生徒と戯れているんだ。仕事はどうした」


俺はあの転入生を無視して会長席に座る馬鹿にそう聞く。どうやらうちの委員達が最近よく言っていた「生徒会が転入生に誑かされて仕事をしていない」という噂は本当だったようだな。


「テメェには関係ねェだろ。――その書類、生徒会に渡すものだろ。貸せ」

「勘違いするな愚か者。俺はお前達を生徒会とは認めない。これは生徒会会計である涼に渡すものだ」

「んだと…?」

「聞くがお前ら、最近仕事しているのか。誰のおかげで生徒会は機能してると思ってるんだ」


俺は再び踵を返し不機嫌に眉を顰める会長を見下す。


「――涼は今日、授業免除を使って休んだ」


おそらくお前らの分の仕事をやっているんだろう、そこまでは言わないでおく。俺は涼のように優しくはない。己で考えろ。


「お前たちは恥を知るべきだ」


バタンッ、と強めに扉を閉めて出る。まだ言い足りない。もっと言ってやればよかった。
生徒会室に涼の姿がなかったし、一応部屋を訪ねてみるか。生徒会室の扉の前で少し考えた俺は涼の寮部屋に向かって歩を進めた。



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