天邪鬼の猫。 | ナノ




11


「落ち着いたか」

「…ん、アリガトウ」

俺達が今いるのは俺の自室もリビング。生徒会役員だからもちろん1人部屋。広さも十二分に広くて文句なし。俺はリビングのソファに座って今は朝陽に淹れて貰ったココアを飲んでる。甘さが少し足りないけど美味しい。涙で冷え切った体はココアを飲んだおかげかすっかりあったまった。


「…あ、さひ…」

「どうした?」

「その…メーワク、かけてごめん…」


俺が座る向かい側に座っていた朝陽は立ち上がって俺の傍までやってきて隣に座る。頭をガシガシと撫でられた。…あり、なんかデジャヴだ。


「謝るな、お前らしくない。それに俺は迷惑だとはこれっぽっちも思ってないから、勘違いするな」


朝陽はまたそうやって優しく月みたいに笑う、俺を照らすみたいに。それがすっごい眩しくて。俺は朝陽の笑顔、好きだ。

そう思っているうちに俺は甘さの足りない朝陽の淹れてくれたココアを飲み干していた。


「涼、西園寺を諦めようとは…思わないのか」


突然、朝陽がそんなことを言った。俺はなんて答えていいか分からずココアの入っていたカップをぎゅっと握り締めて俯いていた顔をあげて、隣に座る朝陽を見上げる。


「…っ、あ、さひ――…?」


俺が見たのは、眉を八の字にして切なそうに唇を噛み締める朝陽の顔だった。


「な、んで…そんなこと聞く、のー…っ」


朝陽は俺がそう聞くと俺をずっと撫でていた手を背中に回して抱きしめる。さっきと同じ温かみなのに、朝陽の様子がおかしい。どんどん俺を抱きしめる力が強くなっていって少し苦しい。


「ちょ、あ、さひ…っ!」


朝陽の腕の中で足掻いてみても力負けする。…同じ男なのに、ちょっと情けない。


「…――涼、俺は、お前の事が好きだ」

「!」


突然の告白。……え、ちょっと待って。朝陽が?俺を?俺がかいちょーのこと好きみたいに、朝陽が、俺のことを?


「う、嘘だぁー…」

「嘘じゃない、お前には悪いが…俺にはこうなってよかったと思ってる」

「…――え?」


嘘だろ?冗談じゃなかったら何だって言うんだよ…。朝陽は抱きしめる俺の体を一度離して、そう言って切なく笑う。朝陽の目には俺の間抜け顔が映っていた。


「もう一度言う、涼…俺はお前が好きなんだ。西園寺なんか諦めろ…。あいつのせいでお前は悲しんでるんだろう?俺は絶対、お前を悲しませない。俺を選べ、涼」



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