天邪鬼の猫。 | ナノ
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「おいっ!涼、お前学校も休んで何してたんだよっ!!」
俺の席に勝手に座る黒毬藻はお菓子を頬張りながらまだ未記入の目も通していない書類の上にお菓子のカスをボロボロと零して俺に説教を始めた。
「お前が居ない間に“篠”たちがお前の分まで仕事をやってたんだぞ!!みんなに謝れ!!」
はぁ?仕事やってたのはこっちだよ。…みんなの分は俺が勝手にやったことだけどさ。…俺、謝る必要ないよね。さすがにこんなん言われたら俺、キレちゃいそうだし。
「“凛”、こんな奴とは関わるな」
「“篠”!!お前ら悔しくねェのかよっ!?涼は俺の友達だ!!友達が間違えてることをしてるなら俺はちゃんと謝らせて正しいことを教えてやるんだ!!ホラ!涼、謝れっ!!」
「篠の言うとおりです、凛。“最低男”とは関わらないのが一番ですよ」
「凛は優しいからー」
「こんな“最低な奴”でも救ってあげようとしてるんだよねー」
「でもねー、こんな奴は」
「救いようが無いよー?」
“凛”、“篠”、いつからそんなに仲良くなったの。かいちょー、人には「別れた次の日にゃもうセフレ探しか?」とか「風紀の野郎は落とせたのか」とか散々言った癖に自分のことは棚に上げてんの?
ふくかいちょーと双子だって、前は“涼”とか“涼ちゃん”って呼んでたくせに“最低な奴”呼ばわり?俺が、あんたらに何をしたって言うんだ。
もう、我慢できない。
「っ、かいちょーも、てんにゅーせいも、ふくかいちょーも、双子も、どこに目ェつけてんの?」
拳をぎゅっと握って、なんとか絞り出した言葉。
「自分等のことは棚に上げて、俺のことそんな風に言える立場?…――そんなんだから、他の一般生徒にてんにゅーせいに誑かされて仕事していない、なんて噂流されるんだよ」
俺はあれだけ目を合わせたくなかった、同じ空気を吸いたくなかった、かいちょーのことを睨んでそう言った。
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