天邪鬼の猫。 | ナノ






次の日、俺は授業免除を使って朝から生徒会室に篭っていた。もちろん溜まった仕事を全部片付けるために。あの様子じゃ転入生に夢中で役員達が仕事してない、って噂は本当みたいだし。

ホントは授業免除なんて使いたくないんだけど、それぐらいしなくちゃこの書類は片付け終わらない。くそう。授業免除使ったら次のテスト全教科は90点以上取らなくちゃいけないのに。あとで、朝陽にノート貸してもらお。今日の分のノートを取っておかなきゃ俺、次3年に上がれない。


「はぁー…ちょーめんどー…」


何もかもあの黒毬藻のせいだ。生徒会役員の俺以外を全員虜にしたせいだ。…くそう。こっちは昨日寝不足なんだぞ。まじで最悪。今日はコーヒーは自重して眠気すっ飛ばすガム噛も。





*

俺は文句を項垂れつつなんとかその日の夕方になる頃にはあの書類の山を捌き、残り数枚の書類をなんとか整理しているところだった。

コンコン、生徒会室の扉を誰かがノックした。他の役員ならノックなんてめんどくさいことせずに自室のように我が物顔で入ってくるはず。
誰だろ、あ、朝陽かな。もしかして書類の追加とか。うえ、書類これ以上増えたら俺確実死ぬね。ガム噛み過ぎて顎痛いもん。さっき間違えて飲み込んじゃったし。


「はーい、誰ですかー?」


ガチャ、扉を開けると俺の親衛隊の隊長様が目をうるうるさせて俺を見上げてた。かわいい。


「りょ、涼さま…っ!僕如きが生徒会フロアに来るなんて…ましてや生徒会室に来るなんて厳重処罰ものとは知っているのですが涼さまが今日、授業を休まれたと聞いていてもたってもいられなくて…っ、つい来てしまいました…っ!」


確かに生徒会フロアは基本一般生徒は立ち入り禁止だけど、風紀の人とか各委員会の委員長の人とか、ついでにあの黒毬藻とかふっつーに行き来してるからもう今更大丈夫だと思うけどね。誰も咎める人なんていないよ。ほんと小川くんって律儀だ。


「心配かけさせたみたいだねぇ…なんかごめんね。んー…っと、生徒会室には入れるわけにはいかないから俺の部屋おいで。コーヒー淹れてあげるぅ」


書類もある程度片付いてるし大丈夫だろ、と俺は遠慮する小川くんを部屋へ連れて行き涼ちゃん特製コーヒーを淹れて上げる。すると小川くんは泣いて感動して俺にお礼の言葉を何度も何度も言った。小川くん、ちょーおもしろいね。なんかこう、いじりたくなっちゃうキャラだ。かわいい。


親衛隊の規模はどんどん大きくなってます、とか親衛隊はいつでも涼さまの味方です、とか。なんかちょっと嬉しくなる会話を少ししてから小川くんは自分の寮へと帰っていった。…そーいえば今日、人と喋ったの小川くんが初めてだ。なんか虚しい。

俺は寮等を出て生徒会室にまた足を運ぶ。しばらく歩いてエレベーターに乗って、また少し歩くと豪華絢爛な見慣れた扉が。それを開けて生徒会室の中の執務室へ向かう。そこには俺以外の役員、そしてあの転入生がいた。



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