天邪鬼の猫。 | ナノ






「困ったなぁー…」

食堂で小柄の生徒達が言っていた噂。あれが本当なら、他の役員の机に溜まりまくった書類の理由の説明がつく。

え、てかまじであの黒毬藻に?みんなが虜にされちゃったの?ふくかいちょーは惚れたって言ってたしありえるかもだけど、あの双子も?…かいちょーも、あのてんにゅーせいのことが好きになったのかなあ…。
俺、けっこーかいちょーに愛されてると思ってたんだけど…自惚れてたなあ。なんか悔しいよなぁ…。俺の一方通行みたいでさ。…あー。うん、この話考えんのやめよ。


「…他の役員の仕事、やったげた方がいいのかなぁー…」


もしも噂がホントだったとしたら。俺が任されてる分はなんとかギリギリセーフで締め切りに間に合ったけど、かいちょーたちの机に溜まった書類の中には締め切りを切った書類もあるんじゃないのか。

俺はかいちょーの席、ふくかいちょーの席、双子の席から締め切りが近いものを見繕い自分の席につく。立派な書類の山が完成しちゃった。いや、そんなこと言ってる暇は無い。このままじゃ生徒会がちゃんと機能しなくなる。俺は書類の山から1枚取って目を通す。


「歓迎式…?」


あーそう言えば今年は2回するとか言ってたよーな記憶が…。…ん?ちょっと待って、今はもう5月中旬、2回目の歓迎式は6月の上旬にはしなくちゃ1学期の最初のテストに支障が出る…。


「締め切り…って明日!?」


やばいやばい。これは大ピンチ。俺は焦る気持ちを抑え書類の山から歓迎式に関する書類を選んで急いで目を通した。
歓迎式では何をするか。まずこれ俺1人の判断で決めていいのかな。…うん、今は緊急事態だ。仕方ない。


「去年は立食パーティー…今年は何にしよかなー…」

あー、これ去年の生徒会メンバーの先輩達と一緒に考えた記憶があるぞ。虚ろにだけど。…そーいえば去年のかいちょーもけっこー暴君だったなー。ふくかいちょーはお母さんみたいに優しくて、書記のセンパイは無口で、でも俺と甘いもの好き同盟組んでたんだよね。会計のセンパイは…いや、思い出したくない。あの人こそがまさに下半身緩々男と呼ばれるべきだ。日ごろからセックス、セックス、お昼寝、セックスが日常みたいな人だったから。


「鬼ごっこ…ってどーかなあ」

高校生がいい年して、と去年は没になった案だ。…これでよくない?業者も雇わなくて済むから予算は少なめで済むし。校舎全体を使えば広くて逃げるスペースもたくさん。鬼は全校生徒で逃げるのは生徒会。見事全員捕まえることができればもれなく賞品が!…親衛隊持ちの生徒の私物とかでいーかな。賞品。

俺ってばなんて頭賢いんだろう。ナイスアイディア!
そこからはスラスラと書類にどんどん書き込んでいって始めてから大体30分ぐらいで歓迎式関係の書類は完了。急いで生徒会顧問にコレを提出しなければ。

パチン、俺は書類をホッチキスで止めて職員寮に向かう。…顧問のせんせ起きてるかなあ。寝てないといいんだけど。

俺は生徒会室の電気を消し、鍵を閉めて7階の生徒会フロアから一番下の職員フロアへ向かった。エレベーターで降りるだけ。近くてよかった。



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