天邪鬼の猫。 | ナノ






「きゃーっ!!涼さまが食堂に…!!」
「こんな時間に会えるなんて!!」


食堂は閉店間近にも関わらず生徒たちが結構来ていた。俺はいつものように生徒会専用スペースに上がってタッチパネル式のメニュー表を手に取る。すると下の一般スペースから声が聞こえた。…ほら、俺って地獄耳だし?


「生徒会の皆様って転入生に夢中で生徒会のお仕事を放棄なさってるんでしょ?」

「うぅ…っ僕、水名瀬様のことずっと好きだったのにぃ…っ」

「何もかもあの転入生が悪いんだよ!」

「生徒会の皆様を誑かすなんてありえない!」


…「生徒会の皆様」ってソレに俺も含まれてるわけ?俺仕事放棄してないし、誑かされてなんかないんだけど…。うん、とりあえず俺はフルーツサラダとサンドイッチを頼む。夜遅くにご飯を食べると太るらしーよ。俺、デブちんにはなりたくないからさ、ちょっと量はいつもより少なめ。あ、でも甘いもん食べ過ぎてる時点で俺には意味ないかあ。
暫く待つとウエイターさんがメニューを運んできてくれる。こんな遅い時間までご苦労様でーす。
もぐもぐと俺はサンドイッチを食べているとまた下から声が聞こえた。


「会計の佐倉って転入生とヤッたって本当か?」

「勇気あるよなァー。俺、あの葉山とはヤろーって気にはなれねェし」

「さすが下半身緩々男ってことはあるよな」

ギャハハ、と下品に笑う男子生徒たちはその話題の本人がこの食堂にいるって知ったらどんな顔するんだろーなぁ。どんだけ失礼な会話してるんだよう。涼ちゃんブロークンハートだよ。



「涼さまはそんな人じゃないっ!涼さまのこと知らない癖にそんなこと言わないでよっ!」


聞き覚えのある、男にしては高く透き通った声を1人の生徒は荒げてそう言った。


「なんだよ咲ちゃん」

「咲ちゃん、あのヤリチン野郎の親衛隊隊長になったんだって?」

「俺達が相手してやろーか?あの会計より気持ちいいぜ?」


俺が上から下を覗くと3人の大柄な男子生徒相手に半泣きになって1人で立ち向かう小川くんの姿があった。…俺、なんだか情けなくなってきた。自分より年下で小柄な可愛い男の子に守ってもらうって…なんだかなあ…。てかお前ら1年だろ!ネクタイ赤色じゃん。俺2年だぞ、ネクタイ青色!全く、今年の1年は年上に対する礼儀がなってないよう。


「馬鹿にしないでよ!涼さまはそんな人じゃないって言ってるじゃん!それにあんた達なんか涼さまになろうとしてもなれないんだから!自惚れないでよ!」


うお、小川くん言うね。



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