天邪鬼の猫。 | ナノ
「諦めない」
次の日、俺は一晩中泣きつかれて寝坊。授業には昼から遅れて行った。
「おっはよーん」
ぱっちりウインク付きで挨拶すれば「可愛くねェーっ」「もう昼だし!」と声が飛び交う。
2-Cの連中はスポーツや勉強の特待で入学した庶民な奴等が集まるクラスで結構みんなノリがよかったりする。俺がちょっとボケればツッコんでくれる奴らばっかでみんなイイ奴だ。
ついでに俺は入学試験で成績がちょー優秀だったから奨学金を貰って特待生として扱われてんの。だから生徒会役員でもお金持ちとか親衛隊がいる生徒たちばっかが集まるSクラスではない。
「あれ、なんか席替わってない?」
「席替えしたからなあ」
「俺の席どこー?」
「窓側の一番後ろ」
「まじ?涼ちゃんってばちょーラッキーじゃん」
「自分で涼ちゃんって言うな!」とか野次を飛ばされながらぱたぱたと踵を踏んだ状態の上履きを鳴らし俺の席、窓側の一番後ろを目指す。…うん、超最高。この学校って寮に住む子供がきょーあく犯から攫われたりしないように完全なセキリュティの元でちょード田舎の山ん中にどーんと建ってんの。だから窓から眺める景色はちょー絶景。桜も全部散って一面の緑が目に映る。
「あ、」
窓側の一番後ろの右隣。つまり俺の隣の席。
「ふーきいんちょーじゃん」
泣きまくってスッキリはしたけど、心のもやもやがとれたわけではない。まだちょっと俺は傷心中なのだ。
こう言えば八つ当たりとか言い掛かりにしか聞こえないけど。昨日ふーきいんちょーが生徒会室に来なかったらかいちょーに誤解されて別れる事もなかったんだよね。何か俺、ふーきいんちょーの顔見づらいなあ。
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