天邪鬼の猫。 | ナノ
7
「……ごちそーさま。俺、用事思い出したから帰る」
最後の理性で何とかこの苛立ちを堪える。だから、誰も今は俺に近づかないで。じゃないと冗談じゃなくてまじで頭が爆発しちゃいそう。
せっかく頼んだ俺の今日の夕ご飯、半分も食べないまま俺は食堂を出た。
階段のすぐ横の席に座って俺を見据えるかいちょーの姿。
『何、篠ってばヤキモチー?』
『フン、お前は俺だけ見てろ』
『ふふっ、どーしよっかなー』
『あぁ?んだと?』
俺、かいちょーのコト見れない。
へーきで、俺の前で、他の奴にキスするかいちょーのコトなんか。
―――――見れねーし。
かいちょーのすぐ横を通り過ぎるときだけは、時間が止まった感じがした。
一般スペースに降りるとまだ少しざわついてる生徒達がいる。そんな生徒達は俺が食堂から出ようとするのを察すると混雑する道を開けてくれた。なんかレッドカーペット歩いてるハリウッド俳優の気分。…ハリウッド俳優になったことないから気分とかわかんないけど。
俺はとりあえず部屋に戻ってもやることがないから生徒会室に行ってやり残した仕事を片付けに行くことにした。
とにかく今は何かして気分を紛らわせないと、この苛立ちは消えない。
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