天邪鬼の猫。 | ナノ






ざわざわ ざわざわ 

周りの音が煩い。

真っ暗な世界に叩き落されたみたいに、一面灰色。

その中にも“色”はあって

俺の大事な人が、転入生にキスしてる。




灰色の世界の中で、俺と、篠だけに、色がある。







「なっ、何すんだよっ!!?」


転入生がかいちょーをぶん殴った。殴られるとは思わなかったんだろーな。喧嘩とか力とかちょー強いかいちょーが殴られるなんてありえない。てか俺も思わなかったし。おかげでボーっとしてた俺は正気に戻ったよ。
そんなことより、さっきより一層食堂内がざわついた。チワワちゃんたちが「篠様が…」「あの黒毬藻ありえない!!」って言ってんのが聞こえる。俺その気持ちすげー分かる。黒毬藻ありえないよね。てかそれよりもっとかいちょーがありえないんだけど。



「…お前、俺に媚びないのか」

「媚びるわけねェだろ!!俺達友達なんだから!!」



キスされても“友達”で片付ける転入生ってある意味すごいなあ。ほら、新条柚木…だったけ。ちょー睨んでるし。てか何で俺睨むんだよ。俺何もしてないじゃん。
ふくかいちょーもちょー怒ってるしさーかいちょーの親衛隊のコだと思うんだけどちょー泣いてるしねー?双子にいたってはアレおもしろがってるし。

ほんと、なんなんだろーね。“葉山凛”くんはさ。


「お前も俺と友達になりたいんだろ!?不器用な奴だな!!そうゆう時はキ、キ、キスなんかじゃなくてっ、ちゃんと名前から教えろ!なっ?簡単だろ!!」

すんごーく、幸せな頭の持ち主なんだね。俺ついてけない。


「はっ。おもしれェ奴だな。俺の名前は西園寺篠だ。好きに呼べ」

「分かった!篠だな!俺達はもう友達だぞ!!」


……―――何で?何で、俺以外の奴に名前呼ばせてんの?
………所詮、俺のことは本気じゃなかったってコトだよね。


…他の奴に、笑顔見せないでよ、


俺は篠が、こんなにも好きなのに。



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