天邪鬼の猫。 | ナノ






(side 朝陽)
(背後注意・攻めが受けっぽくなります)



「…んぅ、っも、やめ」

ペニスを扱く手がどんどん荒く激しくなる。


「…生徒会…うちのばかたちのせいで迷惑かけてるだろ」


ぬちぬちと卑猥な音が狭い個室で鳴り響いている。でかい男が2人くっつきあう密室内が暑くならないはずがない。俺の背中にじわ、と汗が伝っていく感触がした。荒い吐息と先生の声が俺の耳を、先生に扱かれ下半身に集中した熱が俺の視覚と温覚を支配する。
そんな状況で先生はこの場に似つかわしくない世間話を始める。それに返事する気力なんて今の俺にはなく与えられる快感に身を震わせるだけ。


「佐倉さぁ、1年のころから生徒会やって生徒会っていう組織自体に思い入れがあんだろーよ。ぶっ倒れるまで仕事するのは正しいとは言えないが…でもそこまで佐倉を追い詰めたのは同じ生徒会の仲間だ」


手を止めず話を続ける先生の話に耳を傾け少しでもこの熱を冷まそうとする。


「西園寺はそれを理解してるようだが水名瀬たちは…あの通りだ。俺も一応は教師で生徒会の顧問だし、あいつらやこの学園の事情ぐらい分かってる…が、何もできない。葉山の叔父がうちの理事長だろ?たった1人の甥だからって可愛がってて俺ら教師は葉山に滅多な真似できねぇんだよ」


先生たちなんて、葉山どころか他の生徒にでさえ下手な真似はできない。大企業などのお坊ちゃんたちが集まるこの学園に常識を持ち合わせてる奴なんて極僅かだ。世間知らずなここの生徒たちは何をするか分からない。

だから、風紀と生徒会がある。


「…ぅあッ」


一際大きい声をあげてしまった。先生に揉まれ扱かれたソレは先生の手の平に白濁の精を吐き出し、達してしまった。


「…悪いな、お前らが苦しんでんのに…なんもできなくて」


先生はそう言って俺の肩に顔をうずめる。…先生の言葉はすごく真面目…というか、今回の涼の倒れた一件で本当に悩んでるんだな、と伝わるものなのに。傍から見たらなんて間抜けな姿なんだろう、今の俺と先生の恰好は。なぜこんな大切な話をこんな行為をしながら話すのか。


「なんもできないついでに…お前、これからも佐倉を支えてやってくれよ…」


ポケットから取り出したティッシュで俺の精液がついた手のひらを拭き取る。ここにはごみ箱がないため、必然的に先生はそのティッシュを持っておくハメになった。…申し訳なさ半分、そんなことするからだという気持ち半分でそれを眺めながら先生の拘束が解かれたうちにズボンを上げきっちりとベルトも締める。

…支えろ、なんて。俺はいつだって全力で涼を応援して出来る限りのことならばなんでもしてる。…それが涼の支えになってるかどうかは分からないのだが。


「…そんで、お前も佐倉のこと…好きなら諦めんな」


俺の肩に顔をうずめたままそういう先生の声は今まで聞いた中で一番弱弱しかった。



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