天邪鬼の猫。 | ナノ






(side 朝陽)



俺は仕事があるからと涼の髪を一度だけ撫でて部屋を出た。今の状態で涼といるときっと自分で自分を抑えられなくなるだろうから。


情けない…最低だな、俺…。


親友に欲情するなんて。涼は西園寺が好きなのに、俺と涼は友達なのに、どうして俺は涼のことが諦められないんだろう。…時間が解決してくれると思っていたけど…なかなか踏ん切りがつかない。

俺は悶々としながらエレベーターに乗り込もうとする。すると中には西園寺から渡されたのであろう書類を持った生徒会顧問の森田先生がいた。


「おぉ、久代。佐倉の様子でも見に来たんか?」

「…まぁ、はい」


ちゃんとセットされた茶色い髪に、全体的に整った顔のパーツと服の上からでもわかる鍛えられた体、いい歳してかなりの美形だと思う。


「まあこっち来いよ」


すると森田先生は俺の腕を引きエレベーターの中へ牽き込む。もともとエレベーターには乗るつもりだったしそれは別にいいけど。


「…森田先生は降りないんですか?」

「ん、まーな」


ガコン、とエレベーターが閉まる。1階のボタンを押そうと手を伸ばすとその手を森田先生に掴まれ俺の頭の上に持っていかれる。は?と訳がわからず驚いている隙に空いた方の手も拘束される。背中を壁に押し付けられて、目の前には妖艶に笑う森田先生。


「先生、何をしてるんですか」


内心、焦りながらもそう聞くと彼は笑みを深めてこう言った。


「うちの学園の大切な風紀委員長さまがなんでそんな物欲しそうな目をしているのか気になって」


と。片手で俺の両手首を頭の上で拘束して、空いた左手で俺の少し反応していたソレに触れながら。



- 120 -
[ prev  *  next ]
栞を挟む

小説topに戻る
Mainに戻る


人気急上昇中のBL小説
BL小説 BLove
- ナノ -