天邪鬼の猫。 | ナノ




15


「全然…分かってねーじゃん…」

はぁ、なんで俺言えなかったんだろ…篠が好きって…。あれ言えなかったら解ける誤解も解けねーし。つかもっと誤解された。

「あ、れ…?」

ベッドの上で胡坐を掻いて座る俺の頬に生温かい雫が伝う。慌ててそれを手で拭えば手が濡れて湿った。ぽつ、ぽつって白いシーツをどんどんと濡らす。

「まじで…なんで泣いてんの俺…」

なんか逆に笑えてくる。涙が止まんねぇし。笑ってるのに泣いてる、なんて周りに誰か人がいれば今の俺はかなりおかしい。あーなんか泣きすぎて鼻水が…鼻チーンってやりたい。








**




「涼っ!」



暫くの間―時間は時計を見てないから分からないけど―泣いてはそれを拭って鼻が詰まってはチーンを繰り返していた俺は吃驚した。いきなり鼻かんでたらドアがバンッて勢い良く開いて朝陽が血相変えて入って来るんだもん。顔面蒼白の朝陽に、鼻かみながら泣いてる俺。つかまじいきなりすぎてビビった…。


「あ、朝陽いきなりどしたの?びっくりしたー…なんかあった?」

「何かあったのはお前だろう!西園寺に何をされた?!」


ツカツカと大股歩きでベッドのそばにまで来る朝陽。いや、つか篠に何されたって…別に何もされてない、けど…誤解されたぐらい。え、てかなんでそれを朝陽が言うんだろ…別に嫌なわけじゃないんだけど―むしろありがたいぐらい―なにもそんな剣幕で言わなくても…涼ちゃん、びっくりしちゃったじゃん。



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