天邪鬼の猫。 | ナノ






(朝陽 side)



「…篠…篠…」


はっきりと魘されているらしい涼は西園寺の名を繰り返し呼び続けた。


「…涼…お前は残酷だな…」


俺は涼に口付けようとした自分の唇を涼から離し涼の俺の服の裾を掴む手をそっと和らげ俺の服から涼の手を離した。



―――俺は仮眠室を出て執務室の騒ぎを治めに行く。これ以上葉山に騒がれて涼が起こされては困るどころじゃ済まない。




「…葉山凛、騒ぐな。涼を起こしたりしたらただじゃすまさないぞ」

「あっ!朝陽!!なんでそんなこと言うんだよ!俺は涼と遊びたいのに!!」


ふざけるな。涼だって遊びたいさ。生徒会役員とは言え男子高校生なのだから。本来なら友達と一緒に喋ったり遊んだり勉強や恋愛などで悩んだり相談しあったりしたいはずなんだ。涼は…悔しいが西園寺と一緒にいたいんだ。

涼のそれを壊したのは西園寺。でも今涼を追い詰めているのは葉山凛、紛れもなくお前だ。


「葉山凛、これ以上涼に関わるようなら風紀委員としてお前に俺は罰を与える。停学では済まされないと思え」

「久代朝陽、風紀委員如きがでしゃばり過ぎですよ。生徒会の権限であなたを今すぐこの学園から追い出すことは容易いことだ」

「やれるものならやるがいい。仕事をしないお前達にそんなことができるとは思えないがな」


頭の悪くないお前達になら分かるはずだ。生徒会の権利乱用、食堂の生徒会専用スペースに一般生徒の入出、一般生徒の授業免除、上げていけばキリがない。生徒会役員だけが使える特典を乱用するだけ使って仕事はしないだと?


「あまり風紀をナメるなよ。こっちはいつでもお前らをリコールすることができるんだ。リコールする為の理由や証拠はいくらでもある」

「な、なんでそんなこと言うんだよ…!!朝陽すごく最低だぞ!澪たちに謝れ!」

「調子に乗るな葉山凛。本来ならここはお前が入ってきていい場所じゃないと何度言わせるんだ。水名瀬澪、柳瀬雄真と奏真。お前ら次第だぞ。仕事を放棄しリコールされるか、仕事を行うか。お前達ならどうすればいいか、分かるだろう」


睨みながらそう言うと3人とも苦虫を噛み潰したような顔をした。



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