天邪鬼の猫。 | ナノ






「涼、今日朝ごはんは食べたのか」

「オレンジ味の飴ちゃん。ちゃんと棒付き。俺としてはソーダ味舐めたかった」

「…」

ちょ、ふざけてごめんなさい。だからそんな冷たい目で見ないで!だってしょうがないじゃん。書類ずっと徹夜で片付けてて気がついたら窓の外で雀がチュンチュン鳴いてたんだもん。時間も8時ギリギリだったし疲れきった体を癒すためにシャワー優先したらご飯食べる時間もなくてお菓子箱から適当にあったやつ食べただけなんだもん。


「弁当は持ってきたのか」

「昼休みは生徒会室で書類整理するから持ってきてないよう」

「…まるでワーカホリックだな」

「失礼な」


お弁当なんかまず俺、自炊できないし持ってこれるわけねーじゃん。去年は生徒会の先輩の副会長が毎日お弁当作ってくれてたしー…。いつまでも甘えてるわけにはいかない!って大見得を切ったはいいけど2年になってからの昼ごはんは食堂か食べないかのどっちか。食堂のご飯も美味しいけど誰かの手料理が食べたい。肉じゃが食べたい。あ、でもやっぱり佃煮の方がいいや。


「…生徒会の書類、そんなに大変なら少しは風紀に回せ」

「んー…。大丈夫だよ。迷惑掛けちゃうし」


生徒会の仕事は生徒会が、風紀の仕事は風紀が。組織が2つあるのに生徒会の仕事を風紀がやったら生徒会はお払い箱になる。それに風紀に仕事を手伝ってもらったら次も頼りたくなるし。
…朝陽に頼りっぱなしの俺に説得力はないけれど頼ってばっかじゃ人に迷惑が掛かるから。それに去年だって学園祭前はこれぐらい大変だった。全校生徒が楽しめるよう企画するのが生徒会の主な仕事だから行事にはウンと力を入れないと。俺は名誉ある生徒会の役職に俺は選ばれたんだ。ただでさえ凛くんが転入してきて学園全体は荒れてるのに生徒会が自分らの事情で生徒会の仕事を放棄して学園祭を台無しになんてしたら…考えるだけでゾッとする。


「生徒会の仕事、俺がぶっ倒れてでもやんなきゃ誰がやるんだーって話じゃん?」


篠は仕事をやってくれてるとは言え微力に過ぎない。かと言って俺の力が強いわけでもないけど。
塵も積もれば山となる、だ。何のために夏休み棒に振って学園祭の準備してきたか。今、風紀に甘えたら俺の夏休みが無駄になる気がする。やるからには最後まで俺が責任持ってやらないと。


「絶対に学園祭は成功させるから、ね?」


右手でピースして朝陽に片目をぱちっと閉じてウインクするとハァ、と溜息を吐いたあと朝陽は俺の頭をガシガシと撫でた。


「…じゃあ、会計さまの頑張り、最後まで見せてもらおうかな」

「まっかせろ!」


俺がどーんと胸張ってそう言うと朝陽は無理だけはするなよと言ってくれた。



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