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「星!」
真っ黒な空に向かって人差し指をぴん、と向けた凛子が叫んだ。そうだね、星だ。
「きれーい」
「ほんとだ、凛子のひゃくばいきれいだね」
「むかっ」
ぷぅっと頬を膨らませてこっちを睨んだ目が俺に向けられたのは、ほんの一瞬だけで、すぐにまた星に向けられる。星じゃなくてこっちを見てればいいのに。
「凛子、勝負しよ」
「いーよ。何?」
凛子の瞳の中にも星が輝いている。きらり、
「1分で星を多く数えた方が勝ちだよ。凛子が勝ったらご褒美あげる」
「おっけー!」
1、2、3、4、5、…
「いくつ?」
「100!くらい!」
「え、俺97」
「わ、あたしの勝ちだね」
ほんとは俺も100だったなんて野暮なことは言わない。
きらり、きらり。ご褒美の期待に輝く凛子の顔を両手でつつむ。俺の彼女はかわいいぞ。ん?と俺を見た凛子の、黒く縁取られてピンクのアイシャドウがちりばめられた目には楽しそうに笑う俺が映ってた。
「星100こ分のキスをあげる」
瞳をお星さまでいっぱいにしてごらん
(その数だけのキスをあげるから)