素裸の少女の体は、琥一が見たことのある女性の裸の中でも上位に食い込むものだった。
 制服の形に日焼けはしているものの、健康的な色の肌はみずみずしく、胸は大きいのに
張りがある。ほんの少し腹筋の浮いた腹と腰はきゅっと締まり、髪の毛と同じ色の下生え
が薄く茂っていた。まるい尻からむっちりと肉のついた太股のラインはいやらしく男を誘
う。
 女性受けはどうか分からないが、異性を惑わすには十分すぎる肉体。
「コウくん…」
 まじまじと見てくる男に、沙雪は真っ赤になる。異性の前で裸になることすら初めてな
のだ。思わずきゅっと体を丸めて防御してしまう。
「オメェホントに、今まで何もなかったんか」
「なにか…って」
「…変な奴に触られたりと後をつけられたりとか、だ」
「ない…よ?えと、あの、こんな雰囲気になるのも、初めてで…」
 しどろもどろ答える唇をゆっくりと塞ぐ。何度も息継ぎを挟み舌や唇を甘噛みしてやる
と、小さな声を上げながらひくひくと震えた。
 口の端に溢れた唾液の後をべろりと舐め、そのまま首と鎖骨を通り胸まで舌で味わう。
「ゃぁん!」
 豊かな胸を揉み解すように押し上げ、薄い色の乳頭を軽く噛んでやる。面白いように跳
ねる身体の沈み込むような感触に、琥一も興奮する。
「エッ…ロい身体だな」
「やぁ、だ、はずかしっ…」
 小さな体を潰してしまわないように片手を床についたままなのがもどかしく、男は沙雪
を抱きかかえ、胡坐をかいた足の上に座らせた。ころんと背中を預けてくる少女は急に姿
勢を変えられたことに驚いているようだ。
「きゃ、うぁ…ぁん」
「痛くねェか」
 大きな掌は骨ばっていて、確かにごりごりした感触はあるけど、痛くはない。首を振り、
痛みはなくむしろ心地の良いことを伝えようと精一杯口を開く。
「いたくない、よ。いままで胸なんか、じゃまなだけだと思ってたけど、コウくんが気に
入ってくれるなら…っ、あっ」
「あんま可愛いこと言うな」
 ぎゅっと抱き締められ、支えを失った胸がふるんと揺れる。男の熱い息が肩口にかかる
のを感じて、琥一も興奮してくれているのだとおもうとなぜか下腹がきゅんとなった。
 琥一は今回ばかりは自分の体格の良さを呪った。このまま沙雪を抱き潰してしまいたい
が、おそらく体位に気をつけないと上手く挿れることすら危ういし、限度を超えて傷つけ
てしまう。海中にいるときから反応していた下半身はもうがちがちだ。色づいたからだと
無邪気でまっすぐな言葉に恐ろしいほどに煽られる。
「…いっぺん出すかァ」
 どうせゴムを取りに行かなければならないのだ、なんとかごまかして立ち上がろうと沙
雪を抱え上げて畳におろすと、彼女は急に離れた体温にぶるりと震えた。自分の体を支え
る腕にきゅっと縋り、さむい、と呟いた。
 それに、まいった。最初からあまり濃いことはさせたくなかったが、もう限界だった。
 沙雪をころりと腹ばいにさせると、胸と同じくらいむっちりとした尻が現れる。腰を持
ち上げ少し開いてやると、うすく色づくアナルと未経験ながらも潤う性器が見えたが目を
閉じて意識から外す。
「へ、なぁに、なにっ」
 やわらかな狭間に、濡れて重くなっているハーフパンツから取り出したペニスを擦り付
ける。少し勢いづくと秘唇を掠めてしまうが、事故だと自分に言い聞かせる。
「なにしてっ、や、コウくんっ、コウくぅん」
「ホントおまえ、やっべぇ」
 息を詰める男の声が聞こえたかと思うと、こすり付けられていた熱いものの他にぬるい
感触が尻と腰に襲う。
 股を擦られじんわりとした気持ちよさに震えている沙雪は、何が起こったのかわからな
いと言う顔をしている。いちいち説明するのも恥ずかしく、ちょっと待ってろ、と今度こ
そ琥一は立ち上がった。
 
 閉店後に掃いたにもかかわらず座敷には少し砂がのっていて、沙雪の身体にちくちくと
刺さった。琥一が何かを取りに行ってしまったので、ちょっと所在無くごろごろ転がって
しまうと全身に砂がついてしまった。
「何してんだ」
 プラスチックの容器と小さな粉薬の袋のようなものを持った琥一が座敷に上がってくる。
 砂だらけじゃねぇか、と言いながら全身を優しくはたかれるに凄くどきどきする。その
まま壁際に連れて行かれ、腰の下に何枚か半分に折って厚くした座布団を敷かれた。
「や!」
 そのまま股を開かされ、秘部が琥一の前に晒される。やだ、やだあ、と暴れてもがっし
りつかまれた足は閉じることが出来ない。
「砂、付いてるな」
 何に?と聞く前に琥一の頭が沈み込み、あろうことか秘部をべろりと舐められた。キス
をするときの執拗さそのままに、肉厚の舌と薄い唇がぢゅっと秘唇や敏感な突起を刺激す
る。
「ふゃぁぁぁあん、やだぁやだぁあああ」
 溢れてくる粘液は止め処なく、男の唾液と混ざってそこはぬるぬるになった。最初は砂
を舐め取るだけのつもりだっが、あまりにもよがるので、もう暫く責めることにする。
 口で満遍なく啜り指で突起をつまみあげてやると、初心な腰ががくがくとゆれどろりと
少し粘性の高い愛液が溢れた。
「――ぁ、ぁ…」
 ぼろぼろ涙をこぼしながらも、初めての絶頂に少女の頬は上気している。
「ヨかったか?」
 目線を合わせて聞いてやると、こくりと頷く。上手く喋れないらしく、代わりに手を伸
ばしてくるので抱き締めてやる。
 はぁー、はぁー、と息をつく彼女に悪いなと心の中で謝りつつ、臨戦態勢の自身にゴム
をかぶせ、救急箱から持ってきたワセリンのふたを取る。
「っ?」
 先程までの焼け付くような感覚とは違う、ぐうっと体の中に入り込まれる衝撃に、背が
しなる。おそるおそる下腹部を見ると、琥一の長い指が透明なクリームを伴って沙雪の中
に挿っていた。
 まじまじとそこを見る女なんてはじめて見たぞ、とあきれたように言われてあわてて目
をそらす。少しずつ、円を描くように入ってくる指は、圧迫感と痛みしか与えなかった。
「やっぱ最初はなんもねぇよなあ」
 そう琥一が言うとおり、ゆっくりと拓かれ指も何とか二本飲み込むようになったそこは、
先程口でされたときの痺れが残っているだけで新しい快感は生んでないようだった。
「ん、んーでも、最初は、皆痛いんでしょ」
「まあそりゃそうだがな…、今日は止めとくか、また素股でもいいだろ」
 じっくりやろうや、と囁くとぎゅっとしがみ付いたままだった沙雪が、ふるりと首を振
った。
「ううん、わたしはしたい」
 爆弾発言に琥一は殴られたようなショックを受けた。
「…痛いぞ」
「うん、でももっとコウくんと、くっ付きたい」
 指を抜き、ワセリンを足して琥一は自身を沙雪の小ぶりな秘所に擦り付ける。余りにも
未熟なそこに何度も咎める気持ちが起きたが、指で少し広げ、ふとい先端をもぐりこませ
た。
「―――っ、う」
 中はとろとろに溶けていた。今すぐにでも押し入れてしまいたい衝動に少女の腰を強く
掴んだ。沙雪は琥一の首に手を回し、ぎゅうとしがみ付いて耐えている。
 できるかぎり、ゆっくりと。二人とも脂汗を流しながら、半分ほど進んだとき、びくっ
と沙雪が跳ねた。
「い、いたぁ…」
 泣いているのだろう、しがみ付かれているあたりから涙の感触がする。
「悪い、いっかい…引くか?」
 ふるふると赤茶色の髪が揺れる。
「やめないで」
 かすれた嗚咽交じりに耳元で囁かれると、ざあと下半身に血がたまる。今日見つけた彼
女の感じやすいところを、一つ一つ丁寧になぞりながらゆるゆると腰を深くする
 不意に今までとは違う感触が性器の前のほう、敏感な突起に当たり、沙雪はびくんと震
える。
「何とか全部、入った、ぜ」
 ひたりと密着した腰を少し揺すり、あせだくで息の荒い琥一が言った。同じくらい息も
絶え絶えの沙雪は何とかしがみ付いた腕を解き、琥一の顔を覗きこむ。怖い怖いと言われ
る三白眼が、溶ける様な優しさで沙雪を見つめてくれる。すっかり汗で張り付いてしまっ
た沙雪の前髪を梳いてくれ、小声でねだると何度も口付けてくれた。
「ワリィ、限界だ」
 何度目か分からないキスのあと、呻くようにそういった琥一は腰を揺らし始めた。
「あ、くぅ――ん」
 痛い。ジンジンする。ずるずるになってるナカは男を銜え込むけれど、入り口や収縮に
なれない内壁がひどく痛む。
「沙雪っ」
 短く呼ばれて答えようにも、出来ない。
「やあっ!あッ…う……んああッ!」
 意味を成さない声が勝手に出てしまう。痛くて早く終わって欲しいのに、琥一と繋がっ
ていることが凄く嬉しい。急にきつく抱き締められ、肩口に噛み付かれる。
 なかを激しく圧迫していたものがやわらかくなり、琥一の腕からも力が抜ける。ずるり
と抜かれると、沙雪は体中の骨がなくなったみたいにくたくたと倒れこんだ。座布団から
滑り落ちるとたくましい腕が抱き起こしてくれる。
「そのまま寝ちまえ」
 また胡坐をかいた男の上にすわらされ、背中を撫でられる。
「コウくん…」
 眠る直前にうっとりとそう呟いた少女に琥一は頬を緩め、しばらくそのままじっとして
いた。


「ルカ、ごめんね」
 盛大に腰の砕けた沙雪の代わりに、海の家で一日臨時バイトをすることになった琉夏
は悪い笑みを浮かべている。
「大丈夫だよ、これから三ヶ月食費はコウ持ちだから」
 どうやら、琉夏はとうの昔に二人のすれ違う片思いに気付いていたらしい。しかし、恋
心を認めようとしない琥一にイラつき、手ぇ出したら食費三ヶ月と賭けていたそうだ。
「…」
 しかし黙々と鉄板に向かい続ける琥一の顔は満ち足りている。それがなんだか気恥ずか
しくて、沙雪は赤くなる。
 これから、どうしよう。今までが余りにも無防備におんぶや抱っこ果てには肩車までし
ていた為、触れ合うことを知った体がそれに耐えられるか。
「まあ、おいおい考えて行けばいいんじゃない」
 琉夏が、がりがりとカキ氷機を回し、美味しそうな白い山が差し出される。
「とりあえず冷たいモンでも食べて頭冷やしな」
 うん、と素直に餌付けされる様子を見て、やっぱり沙雪は無防備すぎると牙を研ぐ虎が
殺気を放っていた。



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