上のものとは設定違います。高三、琉夏が女にだらしないので注意。

 はばたき高校で一番空に近い場所、屋上の階段を覆う建物の上で琉夏はごろりと横に
なっていた。隣には制服をぐしゃぐしゃにした沙雪がいる。琉夏君、お弁当作ってきたのよ、
食べない?と昼休みの始めに聞かれてから、もう二時間以上経っていた。

 お腹がいっぱいになると眠気が襲うのは人間として仕方が無い事だ。屋上にでも行って
寝るかと思ったが、ふと前を見るといつもはきちんと眠気を我慢している沙雪がこくりこ
くりと舟をこいでいる。ふといたずら心が湧いた。
「沙雪、立てる?」
 うん…、と寝ぼけたまま答え彼女は立ち上がる。そのまま手を取って人気の少ない道を
通り屋上まで誘導した。片手で少女の体を持ち、簡素な梯子を上って階段室の上に登り、
水道のタンクらしきものの影に寝転がる。
 自分のジャケットを敷いて、その上に沙雪を横たえるとすうすう眠ってしまった。
 実に幸せそうな寝顔に、琉夏の心が温かくなる。午後の授業開始の鐘が遠く響いたが、
無視した。
 三十分ほど後に沙雪は目を覚まし、大騒ぎした。
「さぼっちゃった、どうしよう」
「今更行ってもしょうがないよね、次の時間から出るといいよ」
 適当な言葉で丸め込み、泣きそうな沙雪をぎゅっと抱き締める。五限の授業中だから、
屋上には誰もいないし外で体育をやっている声が遠く聞こえるだけだ。
 座ったまま抱き締めていたからだを離さないまま琉夏が寝転がると、その体の上に沙雪
が乗る形になる。
「ちょっと、琉夏君!」
「あー空がすごく綺麗だ」
 夏の厳しさを忘れ始めた空は、日に日にに高く青くなって行く。それを背にぷりぷり怒
りながらも傍にいてくれる沙雪。安全・食欲・睡眠欲が満たされると、次は性欲だなんて
自分でも気持ち悪いくらい原始的だと思う。
 戸惑い気味に半身を起こしている沙雪を引き寄せ、唇を重ねる。逃げを打たないよう足
を絡ませるのも忘れない。
「ん…んっ、ふっ、あ」
 学校だからかまだ乗り気ではない舌を食み歯列を舐め上げる。琉夏の体には少女の体が
乗っていて、呼吸も心音もダイレクトに伝わる体勢。だんだん上に乗っている体からくた
りと力が抜け、重みが増してくる。頃合だろうと唇を離すと、ばか、と短く答えただけで
抵抗は失せていた。

 真面目で明るく、人生の日向を歩いてきたような沙雪を篭絡したのは去年の夏。琥一が
いなければ中学で家を飛び出し、ヒモにでもなって暮らすかと思っていた琉夏には彼女一
人落とすのに何の労力も要らなかった。
 今思えば沙雪の存在が当たり前になりすぎて、一人で歩けなくなるのを恐れたのだと思
う。こいつもただのオンナだ、と烙印を押してしまいたかった。
その行動は思いっきり裏目に出る。ふわふわと行為の余韻に浸りながらも琉夏を存分に
甘えさせる沙雪を手に入れて、琉夏は彼女以外と寝るのをやめた。

「るかくん、るかく…っ」
 仰向けに寝そべったままの青年の腰を跨ぎ、沙雪は侵略を受けていた。コンクリートに
ついた膝がひりひりするのに、貫かれるそこが気持ちよすぎて堪らない。堪らないが、琉
夏は挿れただけで少しも動いてくれない。
「沙雪、えろい」
 ひたすら腰をよじり、自ら快楽を得ようと跳ねる少女の両手を握ってやる。琉夏はファ
スナーを下げただけ、沙雪にいたっては下着の股布をずらしただけの格好で交わる。
「だっ…て、きもちぃ…、あ!」
 一度だけタイミングを外すように琉夏が突き上げると、びくびくと痙攣する。
「ひゃあ、ん、も…やだぁ、こし、こわれる…」
「してるのは沙雪だよ、嫌なら動かなければいいんじゃない」
 ほろほろと涙をこぼしながら、それでも彼女の腰は止まらない。
「だ…ってぇ、あんっ、からだ、止まんな…ぃ」
 沙雪は円を描くように腰を動かし、少し高い位置から打ち付けるように体を落とす。
「あ、ぁあ、るかくんっ」
 内壁がぎゅうと締まり、少女の体がくうっと反る。それは琉夏にも脳が痺れるような快
感をもたらしたが、上手くそらして硬度を維持する。
「へぇ、一人でイっちゃったの。気持ちよかった?」
 余韻に震える沙雪に意地悪く囁く。焦点の定まらない瞳に涙がたまっている。
「沙雪ばっかりずるいな」
 おれまだこんななのに、とナカをごりごり捏ねてやる。
「きゃ、ぁ、ごめ、るかくん、ごめんなさぃ」
 泣いて震えながら腰を振る沙雪に琉夏の嗜虐心が煽られる。何度も銜え込もうと打ち付
けられる動きに思い切り逆らい陰茎を取り出すと、それでまた軽く果てたらしい沙雪が琉
夏の体の上に落ちてくる。
 そのままやわらかく抱き締めると、震えは止まり、ちいさな嗚咽だけが残った。敷いた
ままのジャケットの上にその体を寝かせてやり、琉夏が上から覆いかぶさるとはあっ、と
詰めていた息を吐く。
 彼女自身はしどけなく足を開き快楽に染まりきっているのに、全く乱れていない制服が
異様だ。このままスカートを軽く直してやれば、そのまま授業にだって出席できるだろう。
 蛙のような形に足を押さえてやると、上履きを履いた足の間に、濡れて性器に張り付い
た白い下着が見える。
「沙雪、下着」
 意地悪く言ってやると、小さな手がさっきのように股布をずらし、充血して潤む局部を
露出させた。
「へえ、穿いたままがいいの、ヘンタイだね」
「ぇ、だって、…あ」
 そうだ、普通は下着を脱ぐはずだ。言われて気付く。
「だってるかく…ん、ぁああああああっ」

 文句を言う前に深く挿入される。
 先程までの暴虐が嘘のように、深く口付け悦ぶところを優しく突かれる。みっともない
顔になっているはずなのに、琉夏は優しい表情で沙雪を見つめてくれる。
 気持ちが良い。琉夏が自分を見つめてくれるのが嬉しい。もっと、まざりたい。
「るかくん、…もっと」
 口をついて出たおねだりに、一瞬琉夏の表情が凍りつきすぐにだらしなく解けた。内壁
の圧迫感がうすれ、青年が達したことを知る。
 もっと大丈夫なはずだったのに、と琉夏は甘い重みを訴える腰を引く。これ以上無い色
っぽい笑顔で求められ、コントロールしようと思うまもなく出してしまっていた。どんな
技巧を凝らした奉仕でも、百戦錬磨の玄人相手でもこんなことは無かった。
 引き抜き、とりあえずゴムを外す。中途半端な状態で燻っている筈なのに、沙雪は幸せ
そうに笑っている。そして呆然と座り込んでいる琉夏の足の間によろよろとおさまり、膝
立ちでぎゅっと抱き締める。
 体格がかなり違うので、胸と鎖骨の間辺りに琉夏の頭が納まる形になったが、泣きたく
なってそのまま少女の体に顔を埋める。
「ごめん」
「何で謝るの」
 変な琉夏君、ところころ笑う。いつも琥一のことをカッコつけだといっているが、琉夏
もそうとうな格好つけの見栄っ張りなのだ。今までに無いセックスでの失態に、驚くほど
しょげてしまった。
 暫く甘えたあと、琉夏の手はゆっくりとブレザーのボタンを解きシャツも乱した。お互
いにキスを落とし、二人は快楽を呼び戻す。
「ゴムあるの?」
 はぁ、と少し荒い息を吐いた沙雪が心配そうに聞く。
「大丈夫。ブレザーの内ポケットに入ってるから出して」
 少女の体を悪戯のようにまさぐる手を休めたくなくてそう言うと、むっとしたような声
が上がった。
「何でそんなところに入れてるの!何かの拍子で落ちたらどうするのよ」
 そう憤慨する少女に笑いがこみ上げる。普通だと、他の女ともしてるんでしょとか、
だらしない、といって平手の一発でも食らうところなのに。
 そうしてもう一度深く繋がったとき、五限が終わるチャイムが鳴った。沙雪は胸を食ま
れながら、琉夏は背中にぎりぎりと爪を立てられながら、それを聞く。
「次の…授業、で、る?」
 荒い息に紛れながら汗みずくの琉夏が囁く。ふるふると首を振る沙雪に、ほんの少しの
罪悪感と自分が優先される幸福がわき起こる。
 彼女は琉夏に堕とされたのではなく、同じ高さまで降りてきてくれたのだ。そして何時
だって明るいところへ引き上げてくれる。
 好き、だいすき。あいしてる。言葉を尽くしても行為を深めてもまだ足りない思いが琉
夏を甘く苛む。
 揺さぶられ高い声を上げながら達する沙雪につられて、琉夏も己を解放した。

「ふぁ…」
 太陽は西に傾いたものの、相変わらず抜けるように青い空に向かい青年は伸びをする。
激しい行為を終えた後、少女はまたことりと眠ってしまった。六限一杯寝かせるか保健室
に連れて行くか迷ったものの、自身にも襲ってきた眠気に負け、琉夏も横になる。
 なかよく寄り添って眠る二人は、悲しみになど縁がないようにみえた



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