俺の恋人は黒い猫

「ねえ、みよ。平君ってさ、地味に人気あるよね」
 にや、と笑った村田がカウンターに座る友人に話しかける。
「そうなの」
 アイスコーヒーの氷をつつきながら、目を伏せてみよは言い捨てる。
「だって、この間スクーターの後ろに女の子乗せて買い物してるの見たし」
「…!」
 露骨にたきつけるのはどうかと思ったが、思ったより素直でないみよと鈍感な平は中々進展しない。
「最初みよかと思ったんだけど、違う子だったんだよね」
 目をぱちぱちさせて驚くみよというのは、滅多に見られない珍しいものだった。大体のことには感づき先読み
をする彼女だが、自分のことは占わない。だから、露骨な反応をしてしまうようだ。
「そう…」
 鎖骨と首筋が露になるふわふわのワンピースなんて、高校時代のみよは着なかった。少しずつ可愛くなる服装
は、そのまま恋心なんだと彼女は気付かないのだろうか。
「あ、だからって平君苛めちゃだめだよ。だって付き合ってないんでしょ?」
 意地悪で露骨な言葉をみよに突き刺す。こうやって言葉を弄するやり方は、藍沢に似てきてしまったかなと少
し自省する。
「―っ、う」
 その時、カランと喫茶店のドアが開いて平が入ってくる。
「あ、いらっしゃいませー」
「今日は暑いねぇ、村田さん。ヘルメット蒸れちゃったよ」
 みよと待ち合わせしているくせに、まず村田に笑いかける平に内心溜息をつく。ふだんならここで嫌味か嫌が
らせの三つ四つは飛ばすみよが、今日は大人しく座っている。
「あれ、具合悪い?今日出かけるの止めようか」
 心配そうに覗き込む平に、みよは余計俯く。たきつけた村田も、あまりの効き目にびっくりしてしまう。
「ん…」
 か細く呟くみよの頭をぽんぽんと撫でて、青年はにこりと笑いかけた。
「じゃ、しょうがない。買い物はいつでも行けるしね、送ってくよ」

 どうも様子のおかしいみよをスクーターの後ろに乗せ、平は彼女の家を目指す。アッシーという懐かしい呼称
で呼ばれる程送迎を繰り返しているから、順路はもう頭に入っている。
 なんだかんだとワガママを聞いてしまうのは、きっとみよのことをすこし好きなんじゃないかと最近思うよう
になってきた。
 それに人見知りでつんとした彼女が、自分には全力でわがままを言ってくれるのが、なんだか嬉しい。村田の
友達として知り合ったから、心の垣根が無かったんだろうなと予測する。
 住宅街に入り、小ぢんまりした花の溢れる家の前にスクーターを止める。彼女の母親は手芸家事が好きで、ガー
デニングにも非常に凝っているらしい。
「大丈夫?」
 手を貸してみよをスクーターから降ろし、ヘルメットを受け取る。ふらりとした足取りに、つい玄関までつい
ていってしまう。すると、彼女が手招いた。
「何?」
 一歩家に入ると、ひやっとした空気が肌に触れる。しかし家は静かで、誰も居ないようだった。
「玄関閉めて」
 命令口調に素直に従い平がドアを閉めると、みよがぎゅっとしがみついてくる。
「え、あ?あれ、みよ…ちゃん?」
「平は私の言うことだけ聞いてれば良いの」
 のびるシャツを気にすることも出来ない。なぜ、どうして、という疑問がぐるぐる渦巻くが、嫌ではない、む
しろこみ上げてくる嬉しさに平は動揺していた。
「うん、でも急にどうしたの?」
「…、平は私のなんだから」
 なんだか物凄いことをいわれたような気がする。拗ねたように見上げてくるみよが、とても可愛らしい。
「スクーターの後ろに、他の女の子乗せちゃダメ」
「……、乗せたっけ」
 そう言うと、ぎゅうと頬を抓られる。
「バンビから聞いたの!乗せたっけじゃない!」
「ひひゃいひひゃい、ふぉ、ふぉうだ、思い出したよ」
 そういえば、サークルの買出しの時ほんの少しスーパーまで女の先輩を乗せた事があった。
「でも言われて思い出す位だし、全然何も無いよ」
「…」
 じとっとした視線を送られて、平はたじろぐ。無神経で鈍感だと言われることが多いので、無意識にまずい行
動を取っていたのかも知れない。ここで、どうしたら良いのだろうか。きっと藍沢ならスマートに行動できるの
だろうな、と全く関係ない大人の男を思い出すほどには混乱している。
「約束する。みよちゃんしか乗せないから」
「うん」
 ほわ、と見たことのない顔で笑う彼女が可愛くて腕を彼女の背中に回してみる。初めて抱き締める女の子の体
は、柔らかくて直ぐに折れてしまいそうだった。にこっと平が笑い返すと、みよの大きな猫目が閉じられる。そ
の動作が何を期待しているかなんて幾らなんでも平にもわかる。
 はじめてのキスは、アイスコーヒーの味がした。



全く蛇足的エロ

 何度もキスを繰り返すうちに、みよの頬が真っ赤に上気する。勢いでぺろっと唇を舐めると、べちんと頬を叩
かれてしまう。
「ごめん」
 がっつきすぎた、と反省すると手を引かれて家に上がるよう促される。
「え?あ、おじゃまします」
 耳まで真っ赤なみよは振り返らず、どんどん平を引っ張って階段を登り自室まで連れて行く。低血圧で遅刻し
そうな彼女を何度も迎えに来ているので家を見るのは初めてではないが、彼女の部屋に入ったことはない。
 リビングや玄関の少女趣味とは違うシンプルな彼女の部屋には、これまたシンプルな白いベッドとクッション
が置いてあった。
 平の手を離してぺちゃっと座り込んだみよは、恥ずかしそうに俯いて大きなクッションをぎゅうと抱き締めた。
「えっと、その…いいの?」
「いい」
 俯いて髪が垂れ、露になった首筋まで赤い。彼女の前に座ってさらさらと落ちる髪を撫でると、涙の膜が張っ
た大きな目がおずおずと見上げてくる。
「あのさ、正直に言うけど俺初めてだから。上手く出来る自信ないよ」
「いい」
 いい、と繰り返すのが精一杯らしい彼女も、恐らく初めてなのだろう。両手で頬に触れて顔を上げさせ、もう
一度キスをする。
 直ぐに顔を俯けてしまうから、額をくっつけて無理矢理じっと見つめるとなんだか可笑しくなって来て二人で
くすくすと笑いあう。
「平こそ、いいの?」
「もちろんさ」
「バンビのことは諦めたの?」
 今更な事を聞かれ、ぎゅっとみよを抱き締める。
「諦めるも何も、村田さんにもう藍沢先生とセットで憧れしか感じないよ」
 クッションごとぎゅっと抱き締めると、みよも背中に手を回してくる。常々思っていたことだが、彼女はとて
も小さい。身長が20センチ違うのもあるし、平の腕の中にすっぽりと収まってしまう。
 呼吸をする体を抱き締めているだけでも心地がよくて、別に性的な行為に及ばなくても良いような気すらして
くる。ワンピースの上から、背中や腰を辿って太股にまで触れる。それがくすぐったかったのか、もぞ、と動い
たみよが顔を上げた。
 胡坐をかいた上に乗せて丁度合う視線に、又くすくすと笑って二人はキスをする。平がおっかなびっくり舌で
みよの唇に触れ、僅かに開いたそこから彼女の口腔内に侵入する。
「ん、んぅ…」
 おぼろげな知識と舌先の感触を頼りに、やわやわと舌を絡ませた後甘がみするとなんともいえない感覚がぞわ
りと背筋を痺れさせた。
「はぁ…どう、かな」
「ん…いちいち聞かないで」
 又額をくっ付けて聞くと、ようやく普段の調子を取り戻してきたみよが、がりっと背中に爪を立てた。
「痛いじゃないか…」
 そう言いながらもう一度口付ける。噛んだり舐めたり、ゆっくりと腕の中の体が震えるよう重点的に何度も触
れると、ふにゃっと彼女の体の力が抜けていく。
「はー、はー…」
 くたりと縋るみよは涙目で、凄く色っぽく見える。平の下半身に溜まる熱も、少しずつ押さえが利かなくなっ
て来ていてこれはいよいよかと唾を飲み込んだ。
 よいしょとみよの体を反転させ、後ろから抱え込む体勢になり、摩るように胸や体に触れていく。
「ひゃ…」
「ごめん、どれくらい強く触って良いか解らない」
 ワンピースと下着越しにも、その胸の柔らかさが伝わってくる。そっと触れるだけで壊れそうだと思ってしま
う。
「も、もっと。大丈夫」
「そう…なんだ」
 むに、と指が食い込む程度に揉むと、ひゃ、と小さな声がみよの口から漏れる。掬うように包んで、先端を掌
で擦ると気持ち良さそうにむずがる。
「ぁ、ん、ひゃう、ん」
「よさそう、だね」
 ぴん、と乳首が立ってきた感触に、ほっと息をつく。
「直接触っても、いい?」
 平の興奮も、抑えきれなくなってきている。もっと、彼女の声が聞きたい姿が見たいと思って手が震える。
「う…、うん」
 顔を真上に見上げて、そう返事をする様子が可愛い。ひょいと抱き上げてベッドに押し倒すと、ふわっとシー
ツから良いにおいがして眩暈がした。
 よいしょ、と彼女はワンピースを脱ぎ、恥ずかしそうに下着に手を掛けた。が、どうしてもそれを脱ぐことが
出来ずに戸惑っている。
「あ!」
 そこで平は大事なことに気付いた。セックスは普通、薄暗いところで行うものではないか。電気をつけていな
い室内ではあるが、レースのカーテン越しに昼の光が差し込み十分に明るい。
「はずかしいなら、いいよ」
「う…」
 覆いかぶさる体勢になった事で、彼女の表情と体がよく見える。どこもかしこも柔らかくて温かくて、どうや
って触れたら良いのか戸惑ってしまう。
 まじまじと見ていると、やけになったような手つきでみよが下着を緩めた。可愛らしい胸がカップの下から現
れる。
「触るよ」
「言わなくて良いの」
 ぎゅっと顔を手で隠して足をばたつかせるみよに苦笑して、しかし容赦なく胸を手中に収める。
「ぃあ、あぅ…」
 やはり直接触れると、イイらしい。甘い吐息が直ぐに漏れ始める。ぴんと立ち上がった先端を指で抓むと、背
をそらして悲鳴を上げる。
「ひぃ…!つよい、たいらぁ、つよいぃ」
「ごめ…っ」
 びくびく震える体に、胸を弄る手を緩める。
「これ位?」
 指を噛んでこくんと頷くみよはとても可愛らしい。普段もこれだけ素直なら良いのに、と余計なことを考えて
しまう。
 女の子の胸に直接触っていることが信じられなくて、無心にむにむにとそこを弄ってしまう。
「ふぅ、は…ぁ、ね、ねぇ」
「ん、なに?」
 くいくいとシャツの袖を引かれ、とろんとした顔のみよの顔を覗き込む。
「あの、ね、私ばっかり…。平は、いいの?」
「あ、ああ。そうか、そうだよね」
 正直、緊張と興奮でどうにかなりそうで、胸に触れその反応を見るるだけで射精しそうだなんて言える筈がな
い。
「じゃ、じゃあ、先に進もうか」
 よし、と気合を入れてみよのお腹に手を滑らせ、腰骨を辿ってパンツにたどり着く。手を掛けても抵抗がなか
ったからと引き下ろすと、ふわっとした陰毛と平が見たことのない性器が赤く色づいていた。
「う…ぅ―」
 平の視線を感じたのか、しどけなく開いていた足をもじもじと閉じ合わせてみよが悶える。
「はずかしくて、しにそう…」
「は、はは、えっと」
 そういえばみよはもう素っ裸なのに、平は何も脱いでいない。タイミングがわからなかったのだ。脱いだ方が
良いのか、キモいとか言われたら立ち直れないぞ、と思いつつ、思い立ったが吉日だろうとシャツとジーンズを
脱ぎ捨てて、ベッドの下に放る。
 まじまじと見上げてくる視線に居た堪れなくなり。誤魔化すように柔らかく彼女を抱き締める。素肌同士で触
れ合うと、益々愛おしく感じられるから不思議だった。
 先程、触るよと言ったらいちいち言うなと怒られたので、無言でそっと陰毛に触れる、それを柔らかく梳きな
がら手を下にやるとぷくんとした突起に指が触れた。そのこりっとした感触に、これがクリトリスかなと優しく
抓んでみた。
「や!ぁん、ひんっ」
 するとみよはびくんと竦み体を小さく縮める。大きな反応に不安になるが、指に絡む濡れた液に気持ちがいい
のだろうと無理矢理納得して何度かくにくにとそれを弄ぶ。
「―っ、――っ!」
 指を噛んでひくんひくんと仰け反る彼女が可愛くて仕方が無い。突起から指が滑り、その下の秘裂に触れてし
まったが、たっぷり濡れたそこは、柔らかく平の指を包んだ。
「…ぁ」
「こっちは、そんなに良くない?」
 初めて触れるそこを確かめるように、上から下まで指でなぞる。途中に少し指が沈む部分があり、ここが入り
口かとぞくりとしてしまう。
「い…良いとか、良くないとか、わかるわけなっ…!…や、やぁ…!」
 強気な発言も、突起に触れていじってやると弱弱しい悲鳴に変わる。
「あ…」
 ほんの少し、見つけた入り口に指を沈めてみると、みよが息を呑む。とにかく狭く、しかし柔らかく何よりと
ても熱かった。
「間違ってないよな…」
「ん、んんっ、ふっ」
 濡れたそこは、じりじりと平の指を受け入れていく。少女はただ苦しそうにシーツをかき混ぜる。
「ひゃ!や、やだ」
「痛い?」
「だから、わかんなぃ…の!」
 ひくひく腰を揺らす様子に、嫌がっている感じはない。指をじゅぷじゅぷと沈めながらこりこりと突起を刺激
してやると、急にくたっと彼女の体から力が抜ける。
「…はぁ…、ひぅ…」
 とろんとした様子に、イッたのかなあとぼんやりと思う。触れる部分のぬるぬるも量を増していた。
「女の子は解りにくいなぁ…」
 ふうふうと上下する肩にキスをして、埋めたままの指を更に動かす。男なら出して萎れてしまえばそれで終わ
りといえたが、二本目の指を受け入れたそこは益々貪欲に平の指に絡む。
「んぁ!ふ、ふぇ…、あぅ!」
 すでに意味のある言葉をつむげなくなっているみよは、ぎゅうっと体を丸めて強烈な感覚に耐えているらしい。
「も、ぅ、あ…」
 きゅうっと中が収縮して、又こぷっこぷっと愛液が溢れる。
 自分が、みよを気持ちよく出来ている、という自信が本番行為に進む勇気を平に与えた。
 緊張やら戸惑いやらで、勃起はしているもののなかなか射精にまで至らなかった自身にコンドームをつけ、い
よいよかと頭を振る。
 彼女の足を持ち上げて開くと、薄い毛に覆われた股間が赤く熟れて誘っている。さっき散々苛めたから、挿れ
る穴は間違いようもない。
「じゃ、いくよ」
 ふるっと頷いたみよはきゅうっとシーツを握り締めて目をそらしている。勃起した平自身を見るのが恥かしい
らしい。
 何度か滑って、ようやく先端のほんの少しを膣口に挿入することに成功する。
「っ!―っ!…ぁ!」
 腰を強く掴んで集中し、先端の太い部分をじりじりとねじ込んでいく。小さな穴が広がって、懸命に飲み込ん
でいく様子に頭がくらくらする。ずるっ、と先端だけ飲み込んだときふぅと深く息をつくと、みよが声も出せず
にぼろぼろ泣いている事に気付いた。
「ごめ、ごめん!抜くから、ちょっと…」
「いい」
 彼女がぱたぱたと頭を振ると、涙も散る。
「いい、から、はやく…おわって…」
「うん…」
 頭がくらくらする、ざぁっと血が引くような感覚を味わいながらぐうっと奥まで押し込むと、何時の間にかど
こかしらが裂けたのだろうか、赤い血が伝っていて罪悪感に苛まれる。
 自分の腰がみよの尻に触れた時、やっと全部入ったのかと、ふうっと大きな息をついてしまった。
「ぜんぶ、入ったよ」
「ぅ…ん」
 覆いかぶさって抱き締めると、肩に冷たいものが触れた。
「泣く程、痛い?」
「ちが、ちがぅ…わかんない…」
 顔を覗き込んで、舐め取るように涙を唇で拭うと強く背中にしがみ付かれる。ちゅ、っちゅと何度かキスをし
て、体温を馴染ませる用に体勢をもぞもぞと変える。
「うぐ、いづっ…ぅ」
「ごめん、ホント、ごめん」
 腰を引くにも押すにも痛そうな声を上げるみよに、罪悪感が募る。しかし、未体験の快感に頭がくらくらして、
彼女を気遣う余裕がなくなっているのも事実だ。
 背中にばりばりと爪を立てられながら、小刻みに腰を動かす。気持ちが良い、女の子の中はこんなに気持ち良
いのか、とそればかりが思考を占めて、だんだん腰を押し付けるスピードが速くなる。
 ひたすら息をつめて耐えていたみよが、不意にびくんと震えた。
「どうしたの?もうだめ?」
 涙を指で拭ってやりながら、平がキスをするとふるふると首を振る。
「なんか、今じんじんした」
「この辺?」
「は…ぁ!あっ、やっ、やぁぁ」
 入り口のあたりにカリが引っかかりごりっと抉ってしまい慌てたが、それが良かったらしい。きゅん、と収縮
した中に痺れるような快感が平の背筋を駆け上る。
「―っ!いま、すご」
「いっ、や、たいらぁ、止めてぇ、強いっ!」
「ごめ、はぁ、は、はっ」
 ぬちぬちと音をさせて、やわらかくなってきた中にひたすら突き入れる。脳がショートしそうに気持ちが良い。
 僅かに残った理性で、液を溢れさせて汗を散らすみよも興奮していることを確認する。
「―!く、はぁ、は―」
「な、にぃ?」
 自慰するときとは違う、腰が痺れるような快感に深く息をつく。そのままみよを抱き締めて全身でその熱を感
じると、心が満たされる。
「で、でたの?おわり?」
「うん」
「そう…」
 ほっ、とみよは息をつく。ちゃんとできた事に安心したのだ。
「えーっと、みよちゃんまだ、だよね?」
 だから何を聞かれているのか一瞬判らずに、何も考えずこくんと頷いてしまった。
「ひっ!」
 挿れたまま、平が胸や敏感な突起を弄り始める。
「あーっ、あっ!―ひぃう!」
 ぐぷ、こぽと愛液が溢れる。両手を使って胸とクリトリスを同時に苛めると、面白いくらいにみよの体がはね
る。
「あ、あ、―!」
 くうっと背を反らす様子に、イってるのかな、よかったとふうと息をつく。ずる、といれたままの陰茎を引く
と今までにない動きでみよの内部がからみついてきた。
「ら、らめ、いまうごかないれ…っ!」
「―っ、どう…したの?」
「やぁぁああぁ…」
 ぐちゅっと音を立てて、今までになく中が絡み付いてくる。
「―っ」
 溜まらずに平が腰を動かすと、面白いようにみよが悲鳴を上げる。
「ひゃう、ひゃぁん!あ!あ!あ―!」
「はっ、はぁ、ナカ、よくなった?」
「やら、わかんなっ、わかんないぃ…、ふぇ…」
 ぱちゅ、じゅ、っと厭らしい音を立てる下腹とは裏腹に、彼女は戸惑い泣き始める。
「ごめん、とまらな…っ、っふ、は」
 ぎこちないながらも深く激しくねじこむ。腰と尻が触れる乾いた音が聞こえるほどに打ち付けると、みよも仰
け反る。
「あぅ!あぅ…!やー、やぁー」
 控えめな胸も、強い揺さぶりにふるふると上下する。がつがつと突き上げる平に必死についていこうとする小
さな体が可愛くて、胸がキュンとなる。
「かわいーなぁ」
「ふ…、なに、
「好きだよ」
 その言葉に、きゅうっと中が締まり平自身を絞り上げる。それを引き剥がすように腰を引いて打ち付けると、
細い悲鳴を上げてみよが痙攣する。ゴム越しに平が再度射精すると、二人は疲れきったようにべッドに沈んだ。
「はぁー…、はぁー…ばかぁ…」
「あ、あはは」
 ぎゅーっと頬を引っ張られても、幸せに溶けた脳味噌には一向に響かない。ゆっくりと腰を引くと、最初はあ
んなにかたくなだった膣口がぱくりと開いて蠢くのがみえる。
「つかれた…」
「うん、ありがとうみよちゃん」
 力尽きたようにシーツに埋まるみよは、しかし満足そうに笑っている。平も幸せな気分で彼女を抱き締めた。
「おみず…、冷蔵庫にあるから」
「わかった、ちょっと待ってて」
 しかし奴隷根性は抜け切ってないようで、むくりと起き上がった彼はジーンズを引っ掛けて階下へ降りていっ
てしまう。

「健太くん…」
 結局呼べなかった名前を口にして、みよは恥ずかしさに悶えた。
 水をもって来てくれたら、少し素直になろう。そして名前で、よぼう。そう決意して疲れた体を丸めた。


人気急上昇中のBL小説
BL小説 BLove
- ナノ -