注意
1の主人公と氷室、大迫とバンビ両カップル出ます
1のなつみと姫条が結婚してます。

schoolgirl will be mygirl

「氷室先生、折り入って相談があります」
 大迫からそう言われた時、氷室は遂に来たかと深くため息をついた。十歳年下の元教え子である教師はあのことを知っ
ている側の人間だった。
「大体の内容は分かっている。私の家で話そう」
 下手に外に漏らさないほうが良い話題。他人に踏み入られることを好まない氷室が、自宅に誘うほど。
「すみません、ありがとうございます」
 いつもの陽気さを押し込め、慇懃に頭を下げる大迫は別人のようだ。それこそ本気の表れだろう。
「一つだけ、守ってほしいことがある。必ず二人で来い」

 約束の土曜日。大迫と雪代は氷室の住むマンション入り口で立ち尽くしていた。
 大迫が一人暮らすのは平凡なアパートだ。雪代も庶民派であるため、ドラマのような玄関に手をかける前に驚いてしまった。
オートロックの操作に戸惑いながら部屋番号を押すと、柔らかい女性の声が答え、ドアが開いた。
「今の声が、氷室先生の婚約者だ」
 エレベーターに乗り込みながら、大迫が言ったことに幸代は驚く。
「氷室先生ってご婚約されてるんですか!」
「こら、声が大きい」
 ぽーんと音が響き高い階層でドアが開く。一軒一軒のドアの間隔が広く、中の広さを暗示していた。表札など無いので、
部屋番号で探し当てインターホンを押すと、程なくドアが開く。
「よく来た」
 ほんの少し学校で見るときより穏やかな氷室が先導し、リビングに招かれる。リビングに隣り合うキッチンでは、
優しそうな女性が料理をしていた。
「大迫先輩、こんばんは。それと…、はじめまして」
 にっこりと笑う彼女は大迫と同じくらいの年に見えた。氷室がキッチンに入り、二人はなにやら話しているようだ。
その睦まじさに雪代どころか大迫も瞠目する。

 やがて、女性陣の前にはお茶、男性陣の前にはビールが置かれ、凝ってはいないがとてもおいしそうな肴が用意された。
「零一さんから聞いたときは信じられなかったけど、ホントに大迫先輩、生徒と付き合ってるんですね」
 口火を切ったのは、女性だった。大迫の事を先輩と呼ぶ彼女は何者なのか。
「おれも、まさか氷室先生と同じ轍を踏むとは思わなかった」
「私も大迫から君の事を聞いたとき耳を疑ったよ」
 一気に情報が雪崩れ込んでくる。それを咀嚼して綺麗に並べると。
「つまり、あなたもはば学OBで、卒業してすぐ氷室先生と、つきあった…?」
 半分正解、と彼女は笑う。
「卒業する前から、デートとかしてたのよ」
 あれは違うといつも言っているだろう。と氷室が弁明する横で、二代目先生生徒カップルはただただ驚いていた。
「アンドロイド疑惑の絶えない氷室先生が、教え子にそんな…」
 思わず幸代が言うと、まだそのうわさ生きてるの?と女性が笑う。
 思わぬ暴露に場は和み、二人の教師と二人の元教え子兼恋人たちは、付き合う上での苦労やOB・OGへの対応等を話し合った。
元々大迫が個人的に氷室に相談しようと思っていた事だったが、当事者が全員そろうことでより深い話にまで踏み入った。

 たとえば女同士の内緒話。
「幸代ちゃん、大迫先輩のこと名前で呼ばないの?」
 私は二人きりだったら在学中から呼んでたよ、とこれまた爆弾発言をする。
「え、と…、まだ、なんだか、先生って思ってる所があって」
「じゃあ練習ね、大迫先輩」
 なんだー、と大迫は振り返る。
「ほら」
「ち、力さん」
 小さな声で、呼ぶ。普段の大迫なら、大きな声で言えーと喝を入れるだろう。しかし今日は赤くなり、おう、と答えるだけだった。
「大成功!ね!でもね…セックスのとき…せんせいって呼んでも面白いよ」
 爆弾発言だ。見た目はおっとりしていて明晰そうな女性なのに、結構直裁というか辛らつというか。
 秘密の恋、だったのだろう。大迫の事がずっと好きで、でもそれが恋だと気付くのに二年ちょっとかかった雪代とは多分正反対の恋。
がんばりを評価する大迫と成果を求める氷室。成果を挙げるため、この女性はどれだけがんばったのだろう。

 さらに男同士の会話。
「何故君は私達のことを知っていた」
 酒を口にしながらも氷室の口調は相変わらずだ。この二人が付き合っていることはごく一部では在学中から有名だったが、
一般には全く知られていなかったらしい。
「いや、実は今年の春まで全く知らなかったんですが」
 幸代が卒業した後次の入学式の前に、大迫は理事長に呼ばれた。そこで色々と聞かされたのだ。大迫自身が高校生の時、
既に氷室が生徒に手を出していたことはかなりの衝撃だった。
「あの時の氷室先生は実に面白かった」
 感慨深げに髭を撫でる理事長は、何か困ったことがあれば彼らに相談しなさい、と言い大迫が生徒…ぎりぎり元、ではあるが、
と恋仲になったことも知っているようだった。
「クッ…」
 笑いとも吐息ともつかないものが氷室の口から漏れた。
 不意に、大迫先輩!と呼ぶ声が聞こえ振り向く。真っ赤になった雪代が女性に促されて、小さな声で大迫の名を呼んだ。
ぞくりと背筋を走る痺れ。もう彼女は生徒ではないのだという事実に照れが勝る。
「まだ先生呼びなのか」
 口の端にほんの少し笑みを刷いて、氷室は言う。音楽室で舌足らずに、れーいちさんと呼ばれた甘い記憶が蘇る。

 結果的に散々先輩カップルに苛められる結果になり、ほうほうの体で大迫と幸代は深夜に氷室の家を辞した。
 手を繋いで、ほんのり熱い夏のアスファルト道を歩く。
「なあ」
「あの」
 同時に口を開いた二人は暫く沈黙して、大迫が続きを口にする。
「今日、泊まっていかないか」
 ぎゅっと手を握られ、誘われる。幸せすぎてどうにかなりそうだと思う。
「はい!」


「氷室先生」
 風呂上りの氷室に、ベッドの上から呼びかける。八年前に呼ぶのをやめた名前。
「なんだ、君まで先生呼びか」
 ベッドに腰掛け、優しく頭を撫でられる。そのまま至近距離で甘えるように見上げると、口付けが降りてくる。
 不純な動機ながら一生懸命数学を勉強したおかげで薬学部に合格出来、さらには国試にも合格して働きはじめ二年目。
国試合格で泣き崩れた時、同時に婚約指輪を渡されて抱き締められたときは、こんなに幸せで良いのかと恐ろしくなった。
 もうすぐ、結婚式。もう結婚して小学生の子供もいるなつみちゃんからは、
『よく待った!さすが氷室学級のエース!』
なんてからかわれた。後ろからやんちゃな声と関西弁も聞こえる。
『ヒムロが鼻の下伸ばすん見に行くわ!他の皆も会たがっとるで』
 サイドテーブルの明かりを落とし、柔らかくのしかかってくる重みはもう慣れたもの。でも何十回抱かれたとしても、
気持ちが良いのは変わらない。
 まだ処女で発育もそれほどではなかった体を開いてから、花開き女性らしくなっていく様をつぶさに見てきた。
我ながら少し変態じみているのではないかと氷室自身思うが、彼女を求める欲望は絶えることが無かった。
 ベッドを軋ませ、お互いの体を貪る。
「れーいちさん、あ、あぅ…ん」
「何だ、言ってみなさい」
「きょう、も、生で、シてくださぃ」
 結婚に向けてすべては万全だ。産休願いも出せる状況だし、籍もいつでも入れられる。そこまで出来て、初めて氷室は
生でしてくれた。中には出されなかったものの、あまりの熱さに全身が痺れた。
「また、君はそんな事を…」
「だめですか…?」
 だめじゃないが、と言って髪を撫でられる。 何度かなつみちゃんとお互いの、ベッドでの様子を話した事があるが氷室は
どうやら『おっさんくさくてヤラシー』らしい。生とか安全日ならラクショーよラクショー、とまで言っていたのはどうかと思ったが。
 ゴムに覆われていない氷室のソレを手で触る。熱く脈打つそれを何度か擦り先端を握るとどろりと先走りがもれた。
その間にも氷室の手は乳房や背を這い、緩やかな快感を作り出している。
 ほころんだ秘所に何度か熱いものが触れ、それはゆっくりと進入してきた。
「あ、ぁぁぁあ」
 熱い。ゴムについた潤滑剤やすべりが無いので少し引きつるような感触があるが、ソレを凌駕して気持ちが良い。
「くっ…」
 途中でいったん止まり息を漏らす氷室に、彼もたまらないのだと思うと、下腹がきゅうとなる。
締め付ける内壁にもって行かれそうになるが、何とか奥まで突き入れる。行為に慣れ成熟した女の体はやわやわと陰茎を食み、快感を拾うようだった。
「ひ…やぁ、ぅん…そこ、やぁっ」
「っ、そう…か」
 汗をたらしながらまっすぐに見つめてくる氷室を見つめ返す。最近オールバックにしている髪は風呂に入ったことと
この行為で、昔の髪型に戻っている。
「ゃん、あ、ああああ」
 限界を迎えぎゅうっと氷室に抱きつく。水音を立てる部分も密着して奥深くまで届く。
「な…にぃ、あつい…」
 不意に中に流れる感触にぶるりと震える。抱き締めたままの耳元で、すまないと小さな声が聞こえた。
 中に出されたものは一度ずるりと性器が抜かれると、とろりと溢れ出た。上半身を起こしてソレを見ると、
なんともいえない幸福が込みあがってくる。
「れーいち、さん」
 だいすきです。後半はキスに消える。たがが外れたように二人は求め合った。

 子供の生年月日のせいで二人が盛大にからかわれるまで、あと一年も無い夜だった。

 その頃大迫のアパートに着き、風呂を済ませた二人はくっついてテレビを見ていた。
「もうほんと息が止まるほどびっくりしました」
「そうだよなあ、俺も理事長がからかっているのかと思った」
「でも、氷室先生幸せそうでした」
 昔、大迫がまだ学生だったころはもっとロボットめいていたんだと言う話をひとしきり聞かせる。
「やっぱり変わるんですねえ」
 うっとりとそう言う雪代に、大迫はどきりとする。彼女は気付いていないが、ローズクイーンになるほどの魅力を持った
雪代は方々に影響を与えていた。
 桜井兄弟を筆頭に不安定さを垣間見せた不二山と平、一学年上の生徒会長や隠れた音楽室の問題児、後輩の学年一位や野球部員まで、
彼女に救われたというのは大げさかもしれないが、勇気付けられ、良い方向に進んだ者は両手でも足りない。
「先生?」
 急に黙った大迫に、不安そうな声で呼びかける。
 深夜のテレビは、なんと言うこともない映画を流し続けている。それでも二人で見ていると面白いと思えた。だが、大迫も気付いている。
 このまま、二人テレビを観るだけ?
 大迫のシャツを借りて、肩を触れ合わせている彼女に向き直ると、軽くキスをする。少し目を見開いたものの雪代は目を閉じた。
 何度か深く舌を差し入れるだけで、少女の体はフローリングにくたりと落ちる。
 大きく上下する胸の先端はぷくりと持ち上がり、下着を着けていないことを示唆していた。
「せんせぇ…」
「先生じゃないぞ、もう一度言ってみろ」
 隅に畳んでいた布団を広げ、そこに幸代をゆっくりと横たえる。
「力…さんっ」
「そうだ、よくできたなぁっ」
 ぐりぐりと頭を撫でてやると、ぷうっとふくれる。
「せ、力さんこそっ、先生口調じゃないですかぁ」
 真っ赤な顔をしてじたばたする雪代にそれもそうかと反省してしまう。
「雪代、しよう」
 大迫らしい真っ直ぐな言葉に、息が止まる。精一杯頷くと筋肉質な体が覆いかぶさってくる。幼く見られがちだが、
体はしっかりしていて大人の男のものだ。
 布団に縫いとめられ体中にキスされて何がなんだか分からなくなったときに、秘部に触れられる。きゅっと太股を
閉じて大迫の手を止めると、少し、早すぎるか。と囁かれた。
「ううん、そんなこと…ないです」
「そうか、無理はするなよ」
 初めて異物を迎え入れるそこは、実にゆっくりと大迫に馴染んだ。幸代が泣き始めても止めず、ひたすら指で馴らした後にしたからかもしれない。
「ぁ…、ふぁ…ぁぁ」
 もう声も出ない様子に、罪悪感が募る。いままで何人かと付き合ってきたが、処女は初めてでどこまで追い詰めて良いものか分からない。
「きゃ、あ」
 とにかく気持ちよくさせてやろうと、感じやすいところを執拗に攻めてやる。大迫自身はあとで処理でも何でもしたら良いだろう。
 首筋や鎖骨に歯を立て胸を軽く吸ってやると、きゅうっと絞められる。大迫を飲み込む器官の上にある肉芽を擦ってやると、
少女はくぅっと背筋をそらし、布団に落ちた。
 痛いほどの締め付けのあと、大迫は陰茎を引き出し幸代の太股に何度か擦り付け達した。
「はぁっ、は、ちから、さん」
「ごめんな、無理させた」
 彼女の横にごろりと横になると、ころりと幸代も大迫のほうを向く。
「きもち…よかったです」
 真っ直ぐ目を見つめて言われた言葉に、頭を殴られたような衝撃が走る。真っ直ぐにぶつかって来られても困るときは、ある。
「そ、そうかぁ!」
 わざと明るく言い、水を持ってくると布団を出た。元気になってしまった下半身をどうするか、考えながらおざなりにペットボトルを持っていくと幸代はすうすうと眠っていた。

 その邪気の無い寝姿に、今更ながら罪悪感と言うか、やってしまった気持ちが湧き上がる。それで下半身も大人しくなってしまった。
 氷室先生もこんな風に思ったのだろうか。裸で胡坐をかいて寝顔を眺めていると、そんなことが思い浮かんだ。
 結婚式の二次会ででも聞いてみよう、きっと、答えてくれるはずだ。
 寒そうに体を丸め始めた彼女の横に入り込み、背中から抱き締めて幸福に浸った。

 愛しい生徒を手に入れたはばたき高校の教師二人は、その夜幸せな眠りについたのだった。



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