「お兄さーん、ポカリ買ってきたっすよー」


せっかくのオフ、ということで家でのんびりしてたら突然林田兄からメールが来た。しかも至急ポカリを買ってこいなんて内容だから、若干呆れてしまう。

俺はパシりじゃないんですよーと大きな声で言ってはみたものの無視だ無視。それより早く二階に来いと急かされる。


「人使い荒いって…て、え?」

「愛佳が体調崩したっぽいんだよどうしよう俺こいつが風邪引いたの最後に見たの小学生低学年とかのガキの頃なんだけど!」

「いやいやいや!さすがにそれはないっすよね?いくら林田が完璧人間だとはいえ、風邪は引きますって!」

「まぁどうでもいいんだけどさ、ちょっと対応に困ってるんだよお兄さん」

「…」


どうでもいいんかい!というツッコミができる空気では、ないな。

ベッドに寝かされた林田の頬は赤く、うっすら汗もかいている。額に貼られた冷えピタはまだ厚くて、先ほど貼ったばかりだと伺えた。

いつも落ち着いてる林田とは打って変わってしんどそうに荒く呼吸をしている。やっぱり別人みたいだ。


「熱は何度なんですか?」

「39以上」

「あちゃー結構高いっすね」

「高尾君俺どうしよう!」


お兄さんが涙目で、しかも上目遣いで俺を見上げてくる。結構…というかだいぶエロい。

林田家は黄瀬も含めてだけど美形揃い。普通の野郎がやっても許されないけどこの人だから許される行為だ。

というかぶっちゃけ林田に見える。

髪さえ長かったらという要望はなしにしてお兄さん!こっちのがどうしよう!林田に見えて仕方がないんですが!

風邪を引いたわけでもないのに頬が火照るのを感じる。林田が苦しんでる横でなにやってんだ俺!


「ん…高尾君……?」

「ほらお兄さん、林田起きましたよ」

「ここは任せた!おかゆ作ってくる!」


さっきまでの涙目が晴れて嬉々とした表情をしながら台所までダッシュしてった。本当にあのモデルと同一人物かと疑いたくなるほどのシスコンだ。

そして当然野郎の趣味なんてないので良かった!中性的な顔立ちって罪だよな、てゆうか顔が似てる兄妹ってのが罪だ。


「大丈夫かー?」

「…ごめん、お兄ちゃんが呼んだの?」

「あーうん、でも心配だったし」

「ありがとう…ね」


そう言いながらまた目を瞑る。さっきよりも幾分か呼吸も楽そうだ。

林田の長くて艶のある茶髪を弄る。甘い香りが鼻をかすって、なんだかむず痒いようななにか悪いことをしてしまったような気分になる。


「さて…」


このまま部屋に居続けても変な気持ちになるだけだ。断じてお兄さんではなく林田に、だけど。

ちょうど部屋に入ってきたお兄さんに挨拶をし、帰り支度をする。

そのとき、


「ありがとう…和行、」

「!!」


あぁ、やっぱりここにいると変な気を起こしそうだ。

林田はもう寝息をたてていたけどそんなの関係ない。ダッシュで家を後にした。




(和成だっつの)(ちょっと愛佳ちゃん?え?てゆーか高尾君顔赤かったんだけど、え?)(すー……すー…)


*20130709
はい、せーの!すみませんでしたぁぁああ!(土下座)ちょっと風邪ひいちゃって寝ぼけて和行って言っただけなんたけどね、多分高尾君は喜んでます可愛いです。話があんまり進んでないだけに番外編って難しいですね。じゃあ更新しろって話なんですけど…。
こんなグダグダ小説ですが、ちょっと高尾君になったつもりできゅんきゅんしてくださると嬉しいです!ありがとうございました。



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