勝つことがすべて。 私にとっても中学の友人にとっても重要な言葉だったそれを、私は適切に捉えていないと思う。勝つことがすべて。つまり、勝つためならなんだってする。私はいつからか、こんな風に考えるようになってた。 「いやー毎度思うけど花宮君のラフプレーは見ててスカってするね!」 練習試合が終わったあと、レギュラーを前にして言えば引きつった笑みをもらった。ちなみに試合相手も私を凝視。ほっとけ! スポーツマンシップに乗っ取るならやっぱり喜ばれないことだろうがこの際どうでもいい。バレなければ、試合が続けば、勝てればどうだっていい。 現在京都で楽しそうにやっている後輩風に言えば、「すべてに勝つ僕はすべて正しい」だっけ?ほら。ラフプレーをしようとも勝った霧崎は正しいんだ。 「普通のマネなら止めるとこだろバァカ」 「そうなの?まぁ確かにさつきちゃんなら止めそうだけどね、私は気にしない」 そう、気にしない。私は彼らがラフプレーをしようとも試合が終わった後には笑顔で迎える。無論、勝てば、の話だけれど。 「ところでさー瀬戸君ぼーっとしてなかった?」 「前髪の調子が良くなかった」 「うーん勝てたからいいけどさーもしそんな理由で負けたりしたら前髪剥ぐからねー」 「剥ぐ!?」 「一本ずつ抜いてもいいよ」 「まじ鬼畜だな!」 「負けたくないし」 去年の夏、初めて“負け”を味わった。なんて言ったらいいのかはわからないけれど目の前が真っ暗になって、なにも見えなくなった。 中学のときは、ゴールまで照らされてる道があって苦もなく辿り着けた。その道が、見えなくなったことが、どうしようもなく怖かった。 だから 「今年はキセキたちが高校生になってるからね、こんなんじゃあっさり負ける。瞬殺だよ瞬殺もちろん。てか目合わせただけで死ぬんじゃない?あ、これ瞬殺か」 「好き勝手言ってんな!」 「言われたくないなら、もっと強くなって、負け知らずになって」 まだ見えない道が、見えるように。照られるように。 そのためならラフプレーだって違反だってバレなければなんだって認める。私も、限界までサポートするから。 「負けないで、ください」 「負けるわけねーだろバァカ」 「負けない負けない」 思わず頬が緩んだ。 (確証なんてないのに彼らが言うとなぜだか負けない気がして、) (そんな彼らが大好きなんです) *20130612 遅くなってすみません!いや管理人届けの注意にも書いてあるけど黒バスにわか勢だから霧崎よくわかんなくてググったり夢小説読み漁ったりしながら頑張ったんです!でもイメージと違ったらごめんなさい(;O;) なんだか帝光出身の勝ちに拘るヒロインを書きたかったんです。そして、花宮がラフプレーをすると聞きつけ「あ、これいいんちゃう?」となりましてこんな展開になりました落ちがない! 長々と失礼しましたお粗末様です prev / next ←BACK |