昔から、兄は豆腐ばかり食べていたような気がする。 もともと両親が豆腐好きだっていうのもあったし、私も豆腐は好きだけれど。それにしたって兄は私たちとは比べ物にならないほどの豆腐愛好家だった。 その愛好家が成長を遂げた今、こんなことになってるのだから本当に世の中は末恐ろしい。というか、嫌になる。 「これが俺の妹の愛佳だ!可愛いだろー!」 「どことなく会長に似てますね!あ、黄瀬涼太とのが似てるんですかねー」 「あーどうだろうなーまぁ従兄弟だからなー」 「羨ましい血筋…!」 「ほんとにねー」 豆腐料理を並べた机を囲みながら、そんな話をしている同好会の皆様を見ていて思わずこめかみを押さえた。確かにみんな豆腐好きのんだろうけどこれは会長ファンの人もいるんじゃないかな!?いるよね! まさか同姓(しかもタメ)にまで可愛いやら羨ましいやら言われるとは思わなかった。兄に媚を売っているようにしか見えない。私の、ひねくれた性格がそう感じてるだけかもしれないけれど。 兄に無理矢理連れられてきたここは豆腐同好会の部室だ。さすが帝光中というべきか、室内にキッチンがセッティングされてるんだからなんかこう、公立との差を感じた。ちなみに家具は畳やら木目の見える机やらで、和が意識されているらしい。 とりあえず楽器を吹かせてほしい。そして帰らせてほしい。私は場違いだ。 「で、私はなんのために此処に連れてこられたんですか」 「なんのためって愛佳を豆腐同好会に勧誘するために決まってんだろ」 「馬鹿ですか?」 「なんでさっきから敬語?」 馬鹿という質問には答えてくれないらしい。そうだよね、聞くまでもなく馬鹿だもんね馬鹿野郎! 私を同好会に誘いたいっていうのは、きっとただの言い訳だ。だって私帝光の生徒じゃない時点でアウトだし。兄がしたかったのは、きっと、 「良かったんじゃない?いい人たちと一緒に活動できて」 「っだろ!!」 兄がしたかったのは、兄の自慢の仲間を私に見せたかったんだと思う。……残念ながら、私には誰かに紹介できるほどの素敵な仲間はいない、けれど。 まぁなんにせよ、いいんじゃないか。私の唯一の存在であるこの人が、大事な人たちに出会いその人たちと活動できる機会があって。 (よし!じゃあ次生徒会行くか!)(なんで!?) (遅れてやってきた赤司君が、生徒会室をお訪ねするのはまた別の話) *20130517 さきちゃんお待たせしましたこんなのしかできなかったよごめんね!!しかも赤司様との絡みを期待してくれたかもしれないのに赤司様遅れてやってきますごめんね!でも会長がいなくてショック受けてる赤司様絶対可愛いんだごめんね! こんな駄文でも喜んでくれると幸いです。これからもYOUTHをよろしくお願いいたします。 prev / next ←BACK |