誰かが私を呼んでる気がした。気のせいだと思ったのも自分。

私は…どうなった?


 * * *


「先生!」

「沖田……!」

「世名は大丈夫ですかィ…!?」

「…一番ノリだぜお前やっぱ世名のこと好きだろ」

「ふざけないでくだせぇ!!!」


ふざけたくなんか…ねーよ。

沖田には皆が揃ってから話すと言って、病院を出た。

イライラしてんのかタバコが吸いたくてたまんねー。あのバカ野郎。無理しすぎだバカ。もうバカとしか言えねぇ。

世名の病状は重いものではなかった。だが手術が必要で、手術をするにはまずある程度体調を整える必要がある。その後だって軽くリハビリがあるはずだ。

医者は銀魂付属中学の生徒として世名を見ていて、そのまま高校に行くと思ってる。つーか受験なんて論外だとよ。

俺はどうすればいい。世名になんて言えば…。


「こんなとこにいやがった」

「高杉か」

「揃ったぞ」

「そうか…」


コイツらにはさっきの話をしっかりした。何も言わねえ。いや、言えねぇのか。


「世名さん…ずっと勉強してましたよね」

「休み時間だってしてたわ」

「この前なんか走りながら暗記カード見てたアル」

「…そういやバンドの練習中は楽譜にも単語を書いてたっけか」

「この前ミントン誘ったんですけど、片手で暗記カード見ながら相手されました」

「結果は?」

「………負けました」

「はっ、天才か」


この様子を見てると、土方は多分狂ってる
絶対気にするとこ違うからね!!


「……アイツが目覚めたとき俺はなんて言やいいんだよ」

「先生…」


と、沖田が居ないことに気が付いた。


「沖田は…「世名!起きなせェ」沖田お前…」


病室から沖田の声が聞こえた。入ったらため息つかれた。

どんだけ頼りないんだ俺。


「一番辛いのは世名でさァ…。俺ァせめて…側にいたい」

「沖田……」

「……」

「……」

「世名!早く起きなさい!」


沈黙を破ったのは猿飛だ。

命令形かよ。でも…。


「そうアル世名。あとカッコつけてんじゃねーヨドSが」

「世名ちゃん、起きましょう?世名ちゃんはこんな弱々しくない」

「…起きたらマヨネーズくれてやるから起きろ」


次から次へとうるせぇ連中だな、たく…。


「世名…起きろ」

『ん……銀…時………?』

「「世名!!」」

『…沖田と銀時がハモってるの初めて見た』

「…案外元気ですねィ」


全くその通りだ沖田。まぁマヨラーとハモんのと比べたら全然いいからね。もちろん。

良かったんだよ…な。


「「「世名(さん)!!」」」

『え、何これ此処何処?』

「病院」

『へぇ…』

「とりあえず世名にも話すから」

『受験無理なんでしょ』

「!!!!」


わかるよそのくらいと言いながら世名は嘘っぽく笑った。


『いいんだよ、もう』

「世名…」

『だってさ、こんなに優しい仲間に囲まれて…ワガママなんだよ私』

「…………」

「世名大好きアル!」

「私もよ」


どいつもこいつもなんなんだよ。
俺もとか私もとか言ってんじゃねーよ。そんなこと世名は判ってる。


『銀時もまぁ好き…だよ?』

「俺もだ世名」


 * * *


結局私は銀魂高校行き。でもそれでいいの。もう。

だって大事な友達だっているし。


『おはよー』

「世名!退院おめでとネ」


馬鹿ばっかだけどそれでも…こんないい奴ら多分いないから。





( 世名のドヤ顔初めて見たアル )( どうだった? )( 可愛かったわよ )( …付き合ってくだせぇ世名! )( ありがと妙。総悟は考えとく )( !!!! )


◎20111114



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