こんにちは、僕は春雨の第七師団に属す…隊員Cとでも名乗っておきましょうか。

最近、第七師団に天使というか女神というかそんな素敵な人が現れました。見た目はとある笑顔な悪魔と同じなんですけどね。


「姉さん!」

「どうしたの?神威」

「これから地球って星に向かうんだ」

「地球?」

「そう、地球」


このときばかりは団長も花が咲いたように笑顔で、和やかな空気が流れます。というかまるで犬です。尻尾をはちきれんばかりに振る犬です。

普段が狂犬なだけあってあってまるで別人。というかあの双子の周りだけ空気が違うんですよね。さすがに見慣れましたけど最初はドッキリかなにかかと…。

なんにしても神椰さんはこのむさ苦しい宇宙船に舞い降りた天使です。そして魔王の心中を落ち着かせる精神安定剤です。ありがたや。


「姉さんは覚えていないんだろうけど、昔地球に行こうって約束をしたんだ」

「そうなんだ。きっと、素敵なところなんだね」

「綺麗だしご飯は美味しいし最高だよ。ってことで姉さん、一緒に観光しない?」

「ちょっと待ってください団長!!!」


さすがに叫ばずにはいられなかった。阿伏兎さんがいない今この団長のストッパーを誰がやるんだ。俺がやるしか!やるしかないんだ!

と、気持ちを奮い立たせてみたものの団長まじで恐いですね!すみません調子乗ってました!

でもやはり止めなければ、まずい。だって今回の仕事先は、


「吉原でしょう?」

「だからなに?」

「もし、男に絡まれたりでもしたら…」

「大丈夫、殺すだけだから」


にっこり。笑顔付きで言いはなった団長。安定すぎて俺もちょっと笑っちゃいました。ですよねーと心の中で呟きながら。

吉原を知らないらしい神椰さんはただ首を傾げる。揺れた髪からシャンプーの甘い香りがして、思わず顔を伏せた。


「まぁ…団長の双子ですしいざとなれば男装も……」


自分でもいらいらするほど口ごもった台詞に、団長はピクリと反応した。

いいかなぁと思ったんですけど駄目でしたかね?いやでもきっとイケメンに変貌を遂げると思うのですが…!もしかしたら俺負けちゃう?いや男として負けたくないぞ。でも男として負けてる団長の双子?負けですね。圧倒的負けですね。

そんな俺のめんどくさい心境を知ってか知らずか、団長はいいね、と呟いた。


「は?」

「いいじゃん、それ。姉さんが男装すればいいよ」


団長は先ほどよりもいい笑顔を浮かべ、そして上機嫌に自分の部屋へ戻った。もちろん神椰さんを連れて。

粗方衣装会わせでもしているのでしょう。毎度毎度楽しい方だ。


神椰さんが地球に降り立つのが決まったところで、そろそろ俺も次の仕事の準備を始めましょうか。

このちょっとだけ暖かくて和やかで、大好きな場所に変わった第七師団にできるだけ長く居られることを願って。




(神椰さんが来てから、団長が変わって)(ここが大好きな場所に変わりました)


*20130726
隊員C結構好きです、きっと生真面目だけど天然なイケメン君です



prev / next


BACK
「#オリジナル」のBL小説を読む
BL小説 BLove
- ナノ -