私は体育館に入るつもりなんて毛頭なかった。精々覗いて、さつきちゃんと目があったらちょっとだけ話すぐらい。

せっかくあの兄を連れてきたんだ。高尾君も涼太も全部押しつけるつもりだった。つもりだった………んだ…。


「さすが帝光中すげー!」

「見学させていただいてる身なんだから静かにしなよ…」

「お前は!あのプレーを見てよくそんな静かにしてられんな…!」

「残念興味ないから」


無理矢理高尾君が私を引っ張り、「ちょっと!」と小声の叫び声で応戦したのはつい先ほど。変な声の出し方をしたからか、まだ喉の痛みが残っている。

まぁそれに関しては自業自得。素直に着いていけば良かったんだ。相手に非があっても、自分で解決策を見つける方がずっと楽。私が変わるのは私だけの努力で済むから。

逆を言うと、他人に関しては努力ではどうにもならない。どうにかなるのなら私は変な兄や冷たい従兄弟をどうにかしている。


「………会いたくないな」

「なんか言ったか?」

「なにも」


ちなみに兄は部長と交友があるらしく、楽しそうに話している。たまに聞こえる笑い声が果てしなくウザい。てゆうか帰ってきてよチェンジでしょ。

さつきちやんといえばマネ業に勤しんでるし、涼太に話しかけるなんて論外。さすがは帝光、みなさんお忙しいようでこんだけ騒いでても私たちなんて眼中にないらしい。


「なぁ荒木?」

「…………なに?」

「見てるだけじゃつまらねぇよな」

「は?まぁそんなもんなんじゃない?」

「よし、行こうか」


……………………は?もう一度言う。は?

そんなことを思ってる間にも高尾君はどんどん私を引っ張っていく。なるべく涼太と関わらないように、なんて悩みは悩むだけ無駄だったらしい。

努力をしているわけではないけどもういい。今日は、大人しく我が儘な周りの人間に流されようじゃないか。




(凄く嫌な予感しかしない)(これは部長やマネを通さずに直行で)(涼太の元に行くつもりですか?)


*20130113
唐突に小学生レベルの文法のタイトルにしたくなった結果がこれでした。主語述語!


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