家に着けばあのどうしようもないシスコンが飛びついてきたので腹にグーパン。私は悪くない。断じて。

高尾くんはというと、そんな私の兄を見て固まっている。高尾くんってファッション雑誌とか疎そうだけどな。まぁいいや。


「これ私の兄」

「お兄ちゃんをこれ呼ばわりすんな。ちょっと嬉しいけど」

「黙れドM。で、こちら同じクラスの高尾君」

「ど、どもっす。雑誌買ってますよ」

「まじで?ありがとーね」


お調子者の高尾君も、モデルの前ではテンパるらしい。確かに私も兄とも涼太とも赤の他人だったらびびるかもしれない。はたまた嬉しさに発狂?

それはないなと毒づき、兄を見やる。

うん、黙っていれば普通にカッコいいのに。私以外と接するときはまるで別人だ。


「お前今日は楽器持ってかねーのか?」


たまに、やっぱり兄なんだなぁって思うときがある。それが例えば今この瞬間だったり。

絶対に吹かないとわかっている前提で持っては行かないけれど、基本的に外出時は吹けるときに備えて楽器を持ち歩いている。持ってくれば良かったと後悔するのだけは嫌だ。

もっと練習すれば良かったとか、こまめにリード変えておくんだったとか、そういうクラリネットに関することで後悔したくない。そのくらい真摯な姿勢ではないと、楽器も答えてはくれない気がする。

クラリネットに対する話はおいておいて、故に楽器を持って行くか迷っていたところ。それを兄も把握していたのが無性に家族だと感じる。


「帝光の帰りに楽器吹いたことないんだけど」

「生徒会室使う?」

「あーそうしよっかな」


木管楽器はあまり外で吹くのは宜しくない。生徒会室ならその心配もないし、きっと暖かいだろうから連符の練習も可能だろう。




(よろしく会長)(そこはお兄ちゃんで)(よろしくお兄さん!)(高尾君に咲希はやらんぞ)(えー厳しいっすよお兄さん)(バカが2人…)


*20121229



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