私は人間不信である。と自覚している。理由なんてものはたくさん存在するけれど、一番はやっぱりあいつだ。今手元にある雑誌で満面の笑みをしている、奴。

現在女子高生及び女子中学生の間で人気急上昇のモデル、黄瀬涼太。あまり公表したくないことであるのだが私と彼は従兄弟なんて関係であり、小さいときはよく一緒にいた。


「でも、あくまで小さいときだけだよ」

「それでも羨ましいよー黄瀬君と従兄弟!しかも小さいときの黄瀬君を知ってるとか…!」

「ふーん…」


偶然涼太と一緒にいるところを見られてしまった友人に、私たちの関係を話したのは数分前。従兄弟だという話をしても、彼女はきっと私に妬みなんてものを抱いている。人間所詮そんなものだ。

みんなに人気者で、なにも不自由のなさそうな涼太はいい例。昔から可愛いとかカッコいいとか同級生から、大人からも言い続けられ、それに笑顔で応えていた。完璧な愛想笑いで。それに疲れた涼太が私に当たるのは毎度のことだった。

みんなの知らない素の黄瀬涼太。ただでさえ冷めた性格であるのにイライラしているときの涼太は本当に怖い。急に現れたかと思えば私の愚痴を言い出す。ときには暴力だってしそうなこともあった。(幸いなことに理性はあったらしい)

だから、だ。

こんな人間の本質的な部分を小さい頃から知ってしまった故に、私は他人を信じることができない。表面と素のギャップが怖くて素をさらけ出すこともない。

本当は人と関わることにが面倒なのに、ステータスとしてキャラクターを作る。私だって涼太と同じことをしてるんだ。


「なんにしたって、私は涼太が嫌いだよ」


そして涼太と同じことをしている私自身も、嫌いだ。




(荒木!黄瀬って帝光中のバスケ部のあの!?)(急に話しかけないでよ高尾君。多分それじゃない?)(へぇ…!(随分冷めた目するんだな))

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*20121119
初っ端からやらかした感があるのはきっと気のせいです(暗示)



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