私は、臆さずに堂々と言うことができる。私は、高尾君が好きだ。大好きだ。

最初は容姿を見てかっこいいなって思う。それだけだった。整った顔立ちで眩しい笑顔。真っ直ぐな黒髪は光を反射して輝く。

実際には一目惚れだったのかもしれない。でもちゃんと惚れたのはその先だ。

その容姿により調子に乗ることなんてないし、人気者だけどそれは彼の性格によるもの。一歩引いて周りを見て、でも彼が出なきゃいけない幕は先頭を引っ張っていく。

そんなところも素敵だけれど男女関係なしにどんな人とでも仲良くなれる。そんなの人気に決まってるでしょ?

クラスでちょっと浮いた荒木さんと仲良くなれたのも、きっと高尾君だから。優しい高尾君は孤独な荒木さんをほっておけなかった。あぁ、なんて優しいんだろう。


運命だと思ってたの。私と高尾君は結ばれる運命。

信じて疑わなかった。二年連続同じクラス。同じ班になることも多ければ隣になったことも数回。そしたら自然と話すことも多くなる。

ほら、疑う必要なんてないじゃない?運命。それだけで他に理由なんてないでしょ?


だから今、軽く目眩がする。教室に荒木さんと2人。荒木さんを贔屓しているととられてもおかしくないその状態であることに、目眩がする。

荒木さんも心なしかいつもより柔らかい。それはそうよね、だって高尾君と2人きりだもの。どれだけ荒木さんが恋愛に疎くても相手が高尾君なら、関係ない。


勉強を終えてから帰るだろう荒木さんを尾行する。とくに理由はないの。強いて言うならネタが欲しかった。荒木さんはいつだって完璧だもの。あぁ、余計に妬ましい。

ふと、このままだと高尾君と荒木さんが付き合ってしまうのではないかという不安が過ぎる。でもそんなこと絶対させないんだから。


「咲希…?」

「……涼太」


突然聞こえた声に心臓が跳ねた。同時に心底安心する。高尾君がいなくても、下校中会う男ならいるんじゃない。

なら、高尾君はいらないよね?

そう思い荒木さんを見れば、眩しい金色。あれ?もしかしてもしかしてあの人って!


「珍しいっスね。こんなとこで会うなんて」

「そ、うだね」

「誰かに見られてたら面倒だからこんな感じっスけど…」

「わかってる、よ」


荒木さんがぎこちなく笑ったとか、そんなことはどうでもいい。

高尾君と仲良くてしかもキセリョーとも関係があるとか信じられない!!!どんな悪女よ!!!

でもこれでネタはできた。あとは私が明日学校で言いふらせばいいだけだよね?あぁ、それとも高尾君だけに言うとか?

明日のことに胸を馳せながら踵をかえす。あぁ、楽しみだ。




(今の子…咲希と同じ中学校の?)(…ま、関係ないっスけどね)


*20131117
寒くなってきました


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