体育大会?ちょっと苦手だなぁ。私協調性ないし。

そう心の中で呟きながら、種目が書かれている黒板に目を向けた。在り来たりなものばかりでつまらないそれは、小学校の競技となんら変わりない。

唯一小学校になかったものと言えば棒引きだが、あれは女子のどろどろした部分が見えるので私としてはあまり関わりたくない競技である。

なんにしてもどれに出るにしても生憎やりたくないものはやりたくないのである残念ながら。

ここはあまり目立たない。尚且つさぼっててもそれが分かりにくい競技…綱引きに出ようと思う。それとクラス対抗の大縄跳び。うん完璧。


「荒木なにやんの?」

「綱引き」

「え?意外」

「なんで」

「なんでってか荒木の場合…あーいいや」


こういうとき高尾君っていいなぁと思う。高尾君は人と話すときフルで頭を使っているんだ。

そこまで言ったなら最後まで言え。そう思う人もたくさんいるのだろうけど私は別にそうは思わない。言いながらちゃんと考えてるんだなと思ってしまう。

言っちゃいけないんじゃないかなって言いながら考えて、言っている途中でも駄目だと判断したらやめる。相手のこと考えてるみたいで素敵だ。

私だったらきっと。相手の不快になるようなことは絶対言わない。けれどその前にちゃんと会話が成り立たない。嘘にまみれた言葉を並べてこれまた円滑に。


「そういう高尾君は?」

「多分リレーか長距離」

「あぁ、推薦でなりそう」


男子のことはよくわからないけれど、確か高尾君は学年が誇る運動神経の持ち主だったように思う。それでこのルックスなんだから当然モテるのだろうけどやっぱり私には関係ない。

俺としては玉入れがしたいんだけどなぁなんて太陽みたいに笑う高尾君はもうどうしようもない。バスケと重ねたのだろうか?

先日の話ではないけれど些か単純すぎじゃないか?高尾君はいつか変な悪徳商法に騙されて自分の首を絞めそうだ。


「荒木さんを推薦します」

「は?」


全然聞いてなかった。なにかに推薦されたのだろうが一体なにに?

高尾君はやっぱりな、と呟きながら苦笑していた。いやなにが?


「じゃあ立候補者も推薦も他にいないので、リレーは荒木さんにお願いします」

「え、ちょ」

「ちなみに男子は俺だから」


少し遠い目をした高尾君に同情の目を向けられなくなってしまった私はとりあえず高尾君の肩を思いっきり叩いておいた。いてぇ、と声をあげたことなんて知らない。




(リレーは嫌だけど…これは荒木と仲良くなるチャンス?)
(どこからか熱視線を感じる…気がする?)


*20130905
おおお待たせしました!前回恋をしてしまった高尾君はヒロインを振り向かせるため奮闘しますよ!



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