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何度も興味を持って見たものはできるらしいです。


「これ本当に麻希乃が作ったのか?親父さんどっかに隠れてないか?」

「ちょっとトシ兄辛辣なんだけど」

「いやだってお前……」


トシ兄が目を向けたのは団子と一緒に作った卵焼き。卵を割れるようにはなったけれども焼くのは早かったらしい。真っ黒だ。

そしてまた私を見る。トシ兄!さっきより呆れた表情になってるよ!


「無理だろ」

「一応団子屋の娘なので…」


ちょっと瞳孔開きながら言われたので声が震えてしまったのはしょうがないです。ヘタレなんです。

それにしてもそんな瞳孔開ほどありえないことなんですかね、ちょっと泣いてもいいですかね。

トシ兄の隣で団子を食べる近藤さんは一口一口大事に食べてくれて、そしてあったかい笑みを浮かべている。私までじんわりあったかくなるようで不思議だ。

近藤さんは昔から気持ちを伝染させるのが得意だ。両親も近藤さんが来ると笑ってたのを思い出す。


「トシ兄、雅さんどこにいるかわかる?」


雅さんにお礼を言わないなんてそんなの外道です。なんとしても食べていただかなくては…!

トシ兄に場所を教えてもらい、指示された場所に赴く。初めてのお部屋訪問だ。


「すみません、麻希乃です。雅さんいらっしゃいますか?」

「…麻希乃さん?どうぞ」


部屋に入れば、雅さんは備え付けの小さな机に向かっていた。手には筆、机の上には上質だと思われる和紙。

恐らく手紙を書いているのだけれど、誰宛なのか気になるけど、深入りはやめておきます。ほんの少し、トシ兄への恋文だったらいいなと思うだけなので。

持っていたお盆からお茶と団子を渡す。さて、受け取っていただけるでしょうか。


「両親の団子を思い出しながら作ったんです。良かったら食べてください」

「麻希乃さんがこれを?」

「なんでみんなそんなに疑い深いんですか」


すみません。

笑いながらそう言う雅さんに少し違和感を覚えた。笑いながら?あぁ、そうか。


「初めて笑いましたね」

「あれ?そうでしたっけ?」

「そうです。とっても素敵な笑顔ですね」


ミツバさんみたいに花が綻ぶような笑顔。とは違う。例えるなら、散る桜だ。儚くて、切なくて、でも綺麗で。

別に誰が見ても特別な笑顔ってそういうわけじゃない。でもここで私と一緒に笑ってくれてることがとても幸せなんです。




(美味しい…)(本当ですか!?良かったです!)


*20131019
テストいやあああああ


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