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「近藤さーん!」

「どうしたー?」

「お茶!煎れてみたんです!飲んでみてください!」


雅さんに見守られながら煎れたお茶は、普段見るお茶とあまり差のない仕上がりになりました。嬉しい。

見た目はとりあえず合格。ですが肝心の味が駄目ではどうしようもないので近藤さんに毒み…ゴホン、味見をしていただくのです。

小さな緊張が走る。湯飲みを口に持って行くのがスローモーションに見えた。そして喉が小さく震える。

さぁ、どうでしょうか。


「……」

「…どうですか?」

「…麻希乃ちゃんちの団子と一緒に出てくるお茶の味がする」

「お母さんの、ですか?」

「なんだか懐かしくなっちまったなぁ…」


空になった湯飲みを見つめる。遠い目をして優しく微笑む近藤さんに私はなにができるだろうか。

どうせ駄目人間で、なんにも出来なくて、結局迷惑しかかけられなくて。でもこんなので終わってしまうのはもどかしい。悔しい。

私にしかできないことだって、あると信じたっていいじゃないですか。


「近藤さん!」

「ん?」

「私、お団子も作ってみます」

「おー!そうか!それは楽しみだなぁ」


今度は近くを、私を見て笑ってくれてる。この期待に応えたい。応えなきゃいけない。

大丈夫。団子の材料と作り方は、ちゃんと覚えてる。両親が団子を作っているその光景が、とても大好きだったのです。今でも鮮明に思い出せるほど。

トシ兄に許された修行は明日の午前中いっぱい。みなさんへのお礼に、絶対成功させるんだ。




(材料はだいたいあるけど…あ、あれがない)(おい買い物行くならマヨネーズも頼む)(マヨラー治ってなかったんだ…)


*20130928
この章ももうすぐ終わりです、近々長い章やりたいです、



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