10 さすが武装警察真選組……むさいな!あ、つい本音が。男々しいですね真選組。 雅さんと少しお話して、今日は洗濯の仕方から畳み方、それと簡単な料理を教えていただきます!卵はコツを掴めば簡単に割れるんだとか… 「麻希乃さん」 「あれ?私すでに失敗しました?」 「あ、そういうわけじゃないので大丈夫ですよー」 私はただ容器に入っている卵を手に取っただけ。この段階で失敗ならやっぱり私には卵割りはできないのだと思います。 ですがこの状況ではなんのために声を掛けたのかわからないのもまた事実。卵とは関係なくともやはり変な行動をしていたのだろうか。 「麻希乃さんの両親は、団子屋を営んでいるんですよね」 「雅さん…あなたエスパーですか?」 「土方さんに教えてもらったんですよーあそこ以上の団子はないらしいですよ」 「トシ兄が…?そう言われると嬉しいですね。自慢のお店なんで…!」 自画自賛なんてそんなものじゃなくて、ただ口に合っただけなのかもしれない。それを前提にしても、私が食べてきた団子の中で両親の団子は一番美味しいと言えるしお薦めできる。 だからといって私があのお店を継ぐ気はないんですけどね。私が好きなのは、両親が営んでいる団子屋なんです。私がやるんじゃ意味がない。 「自慢のお店ならちゃんと継いでやれよな」 「トシ兄!」 後ろから聞こえた声にちょっとだけ吃驚した。いつもこの人は、突然現れるんですよね。 「私、ちゃんと夢があるんで。継ぎませんよ。私じゃ無理ですし」 「夢?そんなのあったのか?」 「私も気になりますねー」 「えへへー、秘密です」 秘密っていうのは建前で、ぶっちゃけ覚えていないのてす。思い出せないんだ。なにかがあったのは確かなのに、思い出そうとすると頭痛がする。 私だけの夢だけじゃなかったはずなんですけどね。今となっては一緒に約束したその相手も思い出せないのです。 「雅さんも良かったらトシ兄と一緒に食べにいらしてください」 「土方さんと?」 「だって2人、お似合いじゃないですか」 赤くなった2人を見て確信する。この人たち、両思いだ。 今度は、トシ兄が諦めないようにちゃんとサポートするんです。もう相手のために諦めるなんてこと、しないでほしいのです。 なんて思ってるのと同時に、きゅっと心臓が締め付けられるような感覚。なにかが愛おしくて恐くて近づきたくて。 あぁ、やっぱり私忘れてます。 (霞んだ記憶の奥に見えるのは)(赤い目) *20130727 お久しぶりの駄目人間。夏になると創作意欲が沸くらしい、 ←BACK |