家の前を南雲くんが通ったのを確認してから、勉強に取りかかった。どうせゆっくり登校するならそれまでの時間を有効に遣いたい。 「(今日は南雲くん当番なんだ)」 私の意中の人、南雲くんは風紀委員で朝早くに登校している。一緒に登校できたらなんて夢を描いて、南雲くんが家の前を通る時間に用意が終わるようになったのはいつからだっけ?結局、一緒に行こうなんて言う勇気はないんだけどね。 ♀♂ 「中山、また遅刻なんだけど」 「い、いいじゃん一秒くらい!」 「駄目だから。遅刻は遅刻だよ」 「ですよねー」 私って卑怯な奴だな、とふと思う。普段南雲くんと話せないし、話す勇気もないからこうやってわざと遅刻して学校に来るの。しかも南雲くんが当番の日だけ。他の日はチャイム鳴る寸前に来てなんとか間に合ったって見繕ってる。最低。南雲くんにばれたらどう思われるんだろう。 ちらり、と南雲くんを見てみた。睫毛長いなぁ、鼻高い。あ、肌すっごい綺麗。さすが千鶴ちゃんの双子? 「なに見てんの?」 「べっつに〜?」 「あっそ。あと中山に言いたいことあったんだけど」 言いたいこと?あああ期待しちゃダメ。関わりなんて、遅刻したときだけなんだから。私と南雲くんに、接点なんてほとんどない。そうだ。だから浮ついたもの、なんて可能性ほとんどない。 「一緒に学校行く?」 「え…え?」 「中山って遅刻常習犯の割には起きるの早いから」 「え!え!?なんで知ってるの!?」 「あんだけ見てて気付かないと思ってたの?」 「………」 「どうせ二度寝かなんかしてるんでしょ?それなら早く学校来てくれたほうが俺としても楽だし」 も、申し訳ないくらい美化した思い込みをしてくれてる…!でも南雲くんと一緒に登校?できる?すっごい性格悪い。悪い、けど 「どうする?」 「よ、よろしくお願いします!」 断るなんて、できるわけないじゃん。 (ちゃんと好きって言えたらなぁ) (いつか素直になるから、それまで待っててね) --------------- *20121012 悪いってわかっててもなんとしても関わり持ちたい恋愛心理。薫ごめんね! ←BACK |