バカか。もう一回言う。バカか。近藤さんにしても愛梨にしてもバカだろふざけんな。なにが局長妹権限だよ2人して恋に溺れすぎだろ。なんで、屯所で万事屋の誕生日パーティーなんか… 数日前のことだった。 「土方さん土方さん」 「どうした?」 「ここで、銀ちゃんの誕生日パーティー開きますね」 近藤さんの妹とは思えないほど(近藤さんには悪いが)整った顔に艶やかな黒髪。何度か俺の妹と間違えられたことがあるらしいが、実際俺だって兄のつもりだ。世話のかかる、でもしっかりした真選組の可愛い妹。 そいつが今、若干頬を赤くしながら俺とは犬猿の仲であるあいつの名前を呼んだ。 「……お前目大丈夫か?」 「土方さんひどい」 「あーわりぃ。やっぱ兄妹なんだな」 「兄妹揃って見る目がないって言いたいわけね、土方さんのばーーーか!!マヨネーズに溺れ死んじゃえ!!!」 それ以来話してない。もう、10月10日。屯所には飾り付けが施されていて、らしくない雰囲気に落ち着かねぇ。 別に愛梨と喧嘩したかったわけじゃないんだけどな。ただ、悔しかっただけだ。俺たちの可愛い妹が、あんな意味のわからねぇ天然パーマに惚れている、その事実が。せめて総悟だろ、なんて思う俺は相当妹に優しくない兄らしい。 ♂♀ 誕生日パーティー開いてくれたのは嬉しい。嬉しいんだけどよ、なんか違うんだよな。こう……モヤモヤしてるオーラがあるというか……。俺の考え過ぎ? 「…なぁ愛梨」 「なに?銀ちゃん」 「お前、なんか悩んでんだろ」 「え!?(なんでわかったの?)」 「今なんでとか思った?」 「い、いえ!そんなことないです!!」 あ、思ったんだ。この様子を見るになにかあったには違いねぇんだけど…聞き出し方?んなもん知らねーよ。 あぁでも、こいつが優しいのは知ってる。それを利用するのも気が引けるがしゃあねぇ。ワガママ言ってみますか。 「悩んでる人に祝われても嬉しくないんだけどなぁ」 「な、悩んでないし!祝う気満々だし!」 「そんな挙動不審に言われたって信じらんねーな。言ってみろよ」 途端に涙目になった愛梨。泣くくらいなら最初っからパーティーなんかせずに相談しに来いっての。さて、可愛い愛梨のために一肌脱ぐとしようか。 「あのね、土方さんと喧嘩して……」 「多串くん!?」 内容は気に食わないけどな。 ♀♂ ほんと、見てて飽きねーわあいつら。土方このやろーと喧嘩したのには普通に驚いたが、旦那が仲直りさせてるたァもう腹が痛くてしょうがねぇや。 「お、総一郎くん」 「総悟です。誕生日はどうでしたかィ?」 「……まぁ、愛梨が笑顔なんだし良かったんじゃね?」 こういう大人びた雰囲気がどうにも土方あんちくしょーに似てやがる。姉上の幸せ願って手を引いた土方さんそっくりときた。 だから、姉上と同じ展開だけは絶対にさせるわけにはいかねぇんでさァ。 「旦那がもし愛梨を見捨てるようなことしたら」 「ねーよ、んなもん」 ……死んだ魚の目も煌めくときがあるってのは本当のことだったんですねィ。信じまさァ、旦那のこと。 (まぁとりあえず誕生日おめでとうございまさァ) (あー、どうも) --------------- さかたん!*20121010 恋愛要素ないとか知らない。長いとか知らない。とりあえず彼女思いな銀ちゃん書きたかった ←BACK |